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    楽怒長編小説②
    男子高校生可楽×社会人怒 現代パロ

    #積怒
    #楽怒
    #可楽
    #楽怒うぇぶ夏祭り

    今日も、東京に重い雨が降り注ぐ。傘に跳ね返るバチバチとした音も、鼻につくホコリと湿気が混ざった匂いも、今は全て好きになれる。
    だって、こんな雨の日は積怒に会えるから。梅雨万歳!!

    もう地面から可楽自信が浮いてるんじゃないかというくらい気分も浮かれていた。
    好きな奴に逢いに行くとはこんなに楽しく、照れくさく、待ち遠しいものなのか!
    可楽は今人間である自分の力が出せる限り急いで行った。


    積怒は、あんな無茶苦茶だった約束にも関わらず、雨の日は毎日公園に来てくれた。
    大体可楽より先に東屋に着いていて、いつもと変わらずワイシャツにスラックス、組んだ足の上のノートパソコン、コーヒーチェーン店のカップがいつもの積怒のスタイルだ。
    可楽は鬼だった時とさほど変わらないくらいの髪の長さだが(今の時期は暑いので高い位置で括るのが多い)積怒は社会人だからか、髪の毛は短めだ。
    可楽はあえて積怒の真横に座らず、90度の角度から積怒を見やるのだが、ほのかに項が見えるのがなんとも艶かしく、湿気のせいか、襟足がすこし跳ねているのがなんとも愛らしい。

    「…なんだ?」
    「いや!別にぃ(項噛みつきたい)」

    積怒は視線に敏感なのか、じっと見ていたらすぐ気づいて怪訝な顔してこちらを見てくる。その表情ですら可愛くて可愛くて仕方がない。
    2人が会ってすることは、積怒は昼頃までリモートワークで仕事をして、可楽はノートと教科書を広げで自習をすることが多くなった。以前可楽がずっとスマホをいじってたら勉強しないならここには来ないと積怒に言われて慌てて勉強をする様になった。
    積怒としては、せめて学校に行かない分少しでも身になることをしてほしいのだろう。相変わらず真面目だ。でも、それぞれが作業をしながらもお喋りする口は止まらない。積怒もなんだかんだパソコンをカタカタと弄りながら画面から目を外すことなく答えてくれる。なんとも器用な。

    色々な事を話したと思う。可楽の友達のこと、親のこと、積怒の学生時代、就活の苦労、今の仕事のやりがい。今までいった旅行先で楽しかったところ、美味しいご飯屋、可楽はこの17年間会えなかった分を埋めるような話した。
    でもたまに可楽が突拍子もないことを言って驚かせたり、照れさすような事を伝えるとこっちを見てリアクションしてくれる瞬間が可楽は何より好きだった。

    ああ、ずっとこの時間が続けばいいのに。可楽は心の奥底から思っていた。

    「なあ、儂こんど積怒ん家行きたい」
    「はあ?なにしに来るんだ?」
    「えー?家の中でだってやれることいっぱいあるじゃろ!映画みたりタコパしたり」
    キスしたり、セックスしたり。
    男子高校生なんて、みんな頭の中基本そんなもんだ。隙あらば好きな子とのあれやそれを考えて生きている。
    「たこぱ…?なんだ、たこぱとは」
    「え?!積怒タコパ知らんの?!家でたこ焼き焼いてみんなで食べるパーティ、略してタコパじゃ。入れるのはタコ以外にも肉とか野菜とか何でもありじゃ」
    「ほう…」
    興味ありげにこちらをみている。可愛い。積怒ん家でタコパしてそのままいい雰囲気にもっていってセックスしたい。それしか考えられん今。

    「…いつかな。学生の本文は勉強だぞ可楽」
    「えー!けち!」
    くそっ。このまま家に行く約束まで取りつけたかったけど、焦りは禁物。まず積怒に嫌われとうないし。ゆっくり梅雨の間に、まずは公園での逢瀬を楽しもうじゃないかと可楽は思った。

    「俺はそろそろ行くが、可楽は?」
    「んーしょうがないから学校に行く」
    「まったく、しょうがないじゃないだろ、卒業出来なくなったらどうするんだ」
    「そこはちゃんと日数考えて行ってるから大丈夫じゃ!」

    ニコニコと積怒に笑顔を向けたら、なんとも渋い顔を向けられた。え、儂、そんなに変なこと言った?可楽は積怒の少し読めない表情に困惑した
    「…そうか、学校はちゃんと行けよ。じゃあな」
    「う…ん、じゃあの」
    なんだったんだ…?可楽は首を傾げながら、ゆっくりと学校へ向かう道へと進んでいった。










    最近、おかしな夢を毎夜見るようになった。
    建物が時代劇セットかと思わせるような江戸時代の建物、木々しか見えない森、令和の時代ではないなとすぐわかった。
    積怒は錫杖のような物を持って、状況はよく分からないが人々を痛めつけているようなシーンが多かった。
    この時点で既に気分の悪い夢だ。人を痛ぶり、ましや殺す夢なんて…自分はそんなにも加虐衝動があるほどストレスを抱えている人間だったのか?と怖くなった。
    でも、その後によく見るシーンを思い出したら、そんな事もさして重大ではなくなっていく。
    自分の他にもう1人、頭から二本の角を生やした、鬼のような風貌の奴がいる。手には八手の、ような扇を持っていて、縦横無尽に駆け回って人を殺している。そんな鬼を自分は気にすることなく、どちらかというと早く仕留めろと捲し立てるほどだ。
    月明かりが漏れ、その鬼の姿がよく見えるようになったかと思うと、現れた顔は
    最近出会った高校生、可楽とよく似た顔だった




    また次の日、同じような夢を見る。自分と可楽に似た鬼は森の中を歩いていた。なにやら探し物をしている最中か、ただひたすらに周りを見渡しながら歩いている。
    よくよく考えると、可楽に似た鬼と、夢の中の自分はとても顔が似ていた。ということは学生の可楽と、自分自身も似ているというわけで。
    最初は全然気にもとめなかった。(いきなり話しかけられて驚いてそれどころでは無かったというのもあるが)とうてい自分とは似つかわしくないくらい楽しそうな表情、声、雰囲気だったのだから、令和時代の積怒が学生の可楽と似てると気づくのには、初めて会った時のカフェで真正面から顔をまじまじと見た時だったほどだ。

    なぜ俺たちは顔が似ている?なぜ俺たちは鬼になっている?なぜ俺たちは人を殺している?
    考えれば考えるほど訳が分からなかった。

    そして辛いのは、この訳が分からない状況のまま現実ではその悩みの元凶ともいえる可楽と雨の日には毎日会っているということ。
    出会い方こそ不思議ではあったが、可楽は男子高校生そのものといった雰囲気で、表情をコロコロ変えながらよく話すやつだなと思った。クラスにいたら人気者の部類なのだろうと容易に想像できる。
    でも、なぜそんな人物が自分に固執して会おうと言ってくるのかが最初はまるで分からなかったが、もしかして、夢の内容と関係があるのではと積怒は思い始めた。


    そして、積怒にとって大打撃を受ける事が起きる。
    いつものように眠りにつき、同じ夢をまた見ているかと思ったら、鬼の可楽がおもむろに近づいてきて、自分に口付けをしてくるではないか。
    最も驚いたのは、夢の中の積怒自身は拒絶することなく、そのまま静かに受け入れているということ。
    頭の中ではこれは良くないと思いつつ、夢の中の自分は鬼の可楽からされる口付けにそのまま身を任せ、体ではもっとと欲しているのが分かった。
    可楽に似た鬼の唇は柔らかく、チュクチュクと唾液が混じり合う音と夜の木々の揺れる音のみ耳に入る。
    なぜだ?なぜ男同士で口付けを?、しかも可楽に似た鬼と?
    逃がすまいと後頭部を掴まれた状態で、積怒はぼんやり考えた。


    起きると、カーテンから日差しが差し込んでいた。慌ててスマホで天気情報を調べると、向こう3日は晴れが続くようだ。よかった、こんな精神状態で可楽に会うのは正直きつい…雨が降ったときのみ可楽に会う約束だ。
    積怒は寝汗をビッショリかいているのと、満足に眠ることが出来なかったからか、頭がガンガンするような痛みを覚えた。
    これは良くない。夢を見るようになってから確実に寝不足と、疲労が溜まっている。
    積怒は頭を切り替えさせるため、シャワーを浴びた。

    次の日も、また次の日も同じような夢を見る。夢の中の可楽に似た鬼は、積怒と指を絡ませながら甘い口付けを交わす。
    夢の中の積怒はそれを甘んじて受け入れる。そしてなんと今日は、鬼が自分の首もとに噛み付いてきて、緩やかに口が身体の下に下に降りてくる。
    首、鎖骨、胸元へ…気づいたら着物も上は脱がされていた。
    ダメだ、ダメだ、これ以上は、拒絶しなければ。でも出来ない。夢の中で自分が意思ある行動が出来ないというのもわかっていたが、何故か男子高校生の可楽の顔も過ぎって、このまま先の展開に期待している自分も……


    そこでハッと目が覚めた。時刻は4時。まだ起きる時間では無いが、頭が冴え切ってしまっている。
    積怒は頭を抱えた。口付けだけじゃ飽き足らず、先に起きることまで期待した?男子高校生と?
    そんな自分に嫌気がさして吐き気がしてきた。寝不足による頭痛、吐き気、食欲不振。
    夢を見見るようになってから体がどんどん弱っていってる。

    しかも、そんな状態でも驚いた事に下は熱に反応しているのだ。まるでさっきまで見ていた夢の続きをみせろと言わんばかりに。
    熱は収まる様子がない。自身の体も先程の夢に犯されている。
    積怒は湯だった頭で、思いのまま先程の夢の続きをイメージする様に、可楽の事を思いながら熱を出し発散した。
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