雲ひとつない晴天の空、吹き抜ける心地よい風。今日は絶好のお出かけ日和と言わんばかりの快晴の中、rockは深刻な顔つきで息を切らせながら人気のない道を走っていた。向かう先はだいぶ前に封鎖された廃トンネル。
(……やばい!)
その表情には焦りの色が浮かんでいる。
Cysの身に危険が迫っていた。Cysが今現在いるであろう廃トンネルは有名な心霊スポットで、滅多なことがない限り地元の人も近づこうともしない。
そう。この廃トンネルは"本物"なのだ。しかも相当タチが悪いタイプの。
「Cys」
「ぅわっ!?」
ようやく辿り着いた廃トンネルの、中間を過ぎたあたり。目的の人物はそこに佇んでいた。
よかった。間に合ったみたいだ。安堵したrockはその場で立ち止まり、肩を大きく上下させる。Cysは少しでも到着が遅かったら自分ではもう連れ戻すことはできないほど廃トンネルの内部にいた。
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