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    Alice_owcai

    Twitter@Alice_owcai
    カイン受け小説を書きます

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    Alice_owcai

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    付き合ってるオーカイのSS
    身体の関係があることを匂わす描写があります

    オーカイワンドロ「手紙」暗闇の中淡い光が発光し、誰も居ない部屋に何者かが足を踏み入れる。月明かりだけに照らされた薄暗い部屋の主はまだ戻っていない。今日は魔法舎の任務はなくグランヴェル城の仕事をして夕飯前に帰ってきているのを見かけたから、どうせまたバーで飲んでいるのだろう。明日も城へ行くと言っていたからそんなに遅くならずに帰ってくるだろうと思い、オーエンは自分のものではない椅子に腰を掛けた。
    相変わらず雑に物が散らかった部屋だな、と見慣れた部屋を見渡すとテーブルの上に綺麗な装飾のついた木箱が置いてある事に気付いた。いつもはここに置いてなかったなと思い、何気なく箱を開けてみる。そこには家族からの手紙や、家族皆が描かれた絵などが入っていた。騎士団の部下達からの手紙もあった。大切な物を仕舞っている箱なのだろう。暖かい家庭で人に囲まれて育ったカインらしい持ち物に、オーエンはすぐに興味をなくし蓋を閉めようとする。すると、ひらりと小さな紙が床に落ちた。なんだろう、と思って拾ってみるとそれは黄色の押し花が貼られた栞だった。売り物にしては作りが雑なので素人の手作りだろう。その下にあったのは家族からの手紙とは筆跡の違う、幼い子供が書いたような手紙だった。誰からカインに宛てた物なのかは分かっていた。オーエンは歪に折り畳まれたその手紙を開いた。
    〈きしさまへ
    きしさま、いつもぼくとあそんでくれてありがとう。きしさまといるとむねがぽかぽかあったかくなるんだよ。ずっとずっとぼくといっしょにいてね。だいすきだよ。〉
    ぐにゃぐにゃとゆがんだ大きな文字をなんとか読み取る事ができた。自分の記憶にはない、もう一人の自分─傷のオーエンがカインに書いた手紙だった。特に大した内容の無い手紙をこんな風に仕舞っているカインの気持ちがオーエンには分からなかった。カインはいつもあいつに甘い。傷のお前はまだ子供だからと言っていたが、一度は殺されかけた事もある相手に優しくするなんてどうかしている。それに、僕以外から貰った物を大切にするなんて‥と仄暗い感情が湧いてくる。その事にオーエンは苛ついた。すると、ギィとドアを開ける音がして部屋の主が帰ってきた。
    「わっ、オーエン。いたのか。電気くらいつけろよ」
    暗闇に佇んでいる僕を見てカインが驚いた様子で言いながら電気を点ける。オーエンが手に持っている物に気付いて、カインはオーエンの機嫌がどの様な状態であるのか察した様な表情をした。オーエンがギュッと握り締めるように手紙を持っていた手に自分の手を重ねて優しい声音で言う。
    「大事な物なんだ。皺にならない内に返してくれるか?」
    オーエンは一瞬手紙を破り捨ててやろうと思ったが、そうしたらカインが悲しむであろう事が分かって出来なかった。別にカインの事を悲しませたい訳じゃない。無言で突き返すと、ありがとなと言ってカインは箱に大切そうに手紙を仕舞った。
    「もう一人のお前に、文字の書き方を教えてほしいって言われて教えたんだ。俺に教わった文字で初めて俺に書いてくれた手紙だから、取ってある」
    オーエンは聞いてもないのに、カインがそう小さな声で言った。
    「‥そう。嬉しかったの?」
    「ああ、嬉しいさ。誰かに何かを教えて覚えてくれる過程を見守るのは、いつも特別な喜びがある」
    「ふぅん。あいつに貰った物なのに大切にしてるんだ」
    不機嫌さが声に出たオーエンの言葉に、カインは引き出しを開けて、小さな繊細な細工を施された箱を取り出した。
    「俺の宝物はこれだよ」
    そう言って渡してくる。オーエンが箱を空けると、いつかオーエンが買ってカインにあげた蜂蜜色の綺麗な石がキラキラと輝く指輪が大切に仕舞われていた。
    「いつもは剣を握るからつけられないが、休みの日は付けてるんだ。お前に貰ったこの指輪が一番大切だよ」
    そう言ってカインは微笑んだ。オーエンは先程までの黒い感情が溶けて消えていくのを感じた。カインは左手の手袋を外してオーエンに差し出す。
    「なぁ、今夜はこれを嵌めて抱いてくれないか?」
    カインからの魅力的な誘いに、オーエンの唇は弧を描いた。指輪を薬指に嵌めてやるとカインが首に手を回して抱きついて来たので、オーエンはそのまま寝台に押し倒した。

    空が白む前、体力の限界を訴えられて仕方なくカインを解放してやった。カインの方が毎日体を鍛えているのに、相変わらず快楽には弱い。腕の中のカインがオーエンの方に身体を向けて言う。乱れた髪が色っぽくて、オーエンは手でカインの頬にかかった髪を優しい手つきですいた。
    「なぁ、今度お前に手紙を書いたら貰ってくれるか?」
    「僕に?‥どうして?」
    「いや、なんとなくお前に書きたいなと思ったからさ」
    照れくさそうに微笑む暖かい笑顔を見て、オーエンは陽だまりみたいだと思った。
    「いいよ。もらってやっても」
    小さく僕からの手紙を見つけた時の刺々しい気持ちは治っていた。カインといると心が落ち着く。
    「楽しみにしていてくれ」
    そう言って抱きついて来たカインの暖かい体温を抱き返しながらオーエンは一眠りしようと瞳を閉じた。
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    Alice_owcai

    DONE付き合ってるオーカイのSS
    身体の関係があることを匂わす描写があります
    オーカイワンドロ「手紙」暗闇の中淡い光が発光し、誰も居ない部屋に何者かが足を踏み入れる。月明かりだけに照らされた薄暗い部屋の主はまだ戻っていない。今日は魔法舎の任務はなくグランヴェル城の仕事をして夕飯前に帰ってきているのを見かけたから、どうせまたバーで飲んでいるのだろう。明日も城へ行くと言っていたからそんなに遅くならずに帰ってくるだろうと思い、オーエンは自分のものではない椅子に腰を掛けた。
    相変わらず雑に物が散らかった部屋だな、と見慣れた部屋を見渡すとテーブルの上に綺麗な装飾のついた木箱が置いてある事に気付いた。いつもはここに置いてなかったなと思い、何気なく箱を開けてみる。そこには家族からの手紙や、家族皆が描かれた絵などが入っていた。騎士団の部下達からの手紙もあった。大切な物を仕舞っている箱なのだろう。暖かい家庭で人に囲まれて育ったカインらしい持ち物に、オーエンはすぐに興味をなくし蓋を閉めようとする。すると、ひらりと小さな紙が床に落ちた。なんだろう、と思って拾ってみるとそれは黄色の押し花が貼られた栞だった。売り物にしては作りが雑なので素人の手作りだろう。その下にあったのは家族からの手紙とは筆跡の違う、幼い子供が書いたような手紙だった。誰からカインに宛てた物なのかは分かっていた。オーエンは歪に折り畳まれたその手紙を開いた。
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    Alice_owcai

    DONE12/17 オーカイオンリー「縁海バカンス」の無配です。ケモ耳ファンタジーで狼のオーエン×兎のカインのほのぼのオーカイです。
    君のキャロットケーキが食べたい「はぁっ、はぁっ‥」
    カインは荒い呼吸を整えながらそっと茂みに身を隠す。森の中を全速力で走り抜けたので息が上がってしまった。いつもは気をつけているのに、珍しい木の実を見つけてうっかり狼の縄張りまで入ってしまった様だ。木の実を摘んでいたら狼達に見つかって、追いかけ回されている最中だ。狼は足が速いし力が強い。足の速さでは負けるが体力と小回りではカインは負けないと自負している。なんとかして逃げ切らなくては‥。
    この世界には獣人が暮らしている。カインは茶色のたれ耳を持つ兎だった。身体は人間の雄と変わりはない。獣人の中にもヒエラルキーがあり、狼は兎よりも遥か上に君臨している。草食動物である兎は肉食動物の狼に捕まると餌にされたり奴隷にされたりしてしまうのだ。餌にされると言っても身体を食べられる訳ではなく、兎の体液が狼にとっては甘露であり一番好まれる餌だった。この世界には雄しかおらず、番を見つければ同種族でも異種族でも番になれる。でも兎は弱いので独り身の者は自分の身に気をつけて暮らさないといけないのだ。カインは兎の種族に生まれたが、小さな頃から体力作りや鍛錬を欠かさなかった。好き合った相手以外に捕まって自由を奪われるなんて絶対に嫌だ。
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