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    Alice_owcai

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    カイン受け小説を書きます

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    Alice_owcai

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    付き合ってるオーカイの朝の一幕
    甘いです

    オーカイワンドロ「朝焼け」毎朝早起きなカインがいつもより更に早く目覚めた朝。まだ夜も明けていない魔法舎の庭をカインは気分よく散歩していた。朝の空気は凛としていて、清々しくて好きだ。少し早いけどこのままいつもの鍛錬に向かおうかな、と思っていたら屋根の上に見知ったシルエットを見つけた。

    厄災の傷を負って相手に触れないと誰の姿も見る事が出来ない俺が1日の始まりに姿を見つけることができる魔法使いはこの世にただ一人。目玉を交換したオーエンだ。

    オーエンと俺は色々あったが、今は恋人として付き合っている。昨日はオーエンに会えなくて寂しかったので、カインは一度部屋に戻ってオーエンに渡したかったものを取りに行ってから屋根に登った。

    「オーエン、おはよう!」
    突然現れたカインに少しだけ目を見開いたオーエンは、すぐに微笑んで「おはよう」と低くて美しい声で返してくれた。

    「隣、いいか?」
    「いいよ、おいで」
    隣、と言ったのにオーエンは両手を開いて腕の中においで、をした。カインは少し照れながら、でもオーエンと恋人らしい接触をするのは好きなので腕の中にスポッと治まった。するとオーエンがカインをギュッと抱きしめてくる。

    「ふふ、カインの身体暖かい。小動物みたい」
    「ん〜俺はそんなに小さくないぞ?むしろ大きいと思うが‥」
    カインが反論すると、オーエンが言った。
    「小動物みたいにかわいいねって事だよ」
     
    オーエンは付き合ってから俺に甘い言葉をよくかけて来るようになった。付き合う前は本意ではないと判っていたが皮肉や悪意をぶつけられることが多かったカインはその変化にまだ慣れない。
    夏とはいえ夜明け前の屋根の上は少し肌寒い筈だった。なのにオーエンがそんな事を言うからカインはなんだか暑くなってきた。

    「あれ、赤くなってるの?かぁわいい」
    赤くなった耳をペロっと舐められてカインはビクっと身体が動いた。オーエンに後ろからがっしりと抱きしめられているので逃げ場がない。

    「もう、オーエン‥俺で遊んでるだろ‥」
    カインは手で顔を覆いながら呟く。
    「カインの反応が一々かわいいから揶揄いたくなるんだよ。街や城の女達にキャーキャー言われてる騎士様が僕の言葉ひとつでこんなになってるなんて」
    オーエンに言われてそんな俺は格好悪いのかなと思い、
    「‥面白い?」と返すと、
    「僕だけの物って実感できて堪らないよ」と返されたのでカインは更に赤くなった。

    このまま歯の浮くセリフばかり言われていたら茹でたタコみたいになりそうなのでカインは話題を変えた。

    「ところでオーエンはこんなところでなにしてたんだ?」
    オーエンは夜行性なので世が明ける前に眠っていることが多い。疑問に思って聞くと、

    「朝焼けを待ってたんだ」
    夜明けが訪れ、空が橙から黄色のグラデーションへと変化していく。二人は眩しいオレンジ色の光を浴びる。
    「朝焼けが好きなのか?」
    「うん。たまに見たくなって起きてる時がある」
    「綺麗だな」
    「うん、綺麗」

    二人はしばらく1日の始まりの空の色に見惚れていた。オーエンと一緒にいるときはカインが話していることが多いが、無言でも空気が悪くなることなく、むしろ2人きりで静かに景色を眺めるのは心地が良かった。この世に息をしているものは俺達2人しかいない、そんな神秘的にも感じる時間だった。

    「そういえば」
    静かな時間の終わりはオーエンの一言からだった。
    「お前はいつお腹に持ってる箱を僕にくれるの?」
    昨日街に出た時にオーエンが好きそうだと思って買ったクッキーを持ってきたのに、渡しそびれていた。
    「そうだった。これ、いつもの店の新作だって。蜂蜜と檸檬のジャムが乗ったクッキー。オーエンが好きそうだなって」
    「へぇ‥」
    そう言うとオーエンはカインを抱きしめたまま手の中の箱のリボンを解いた。丸いクッキーの真ん中にキラキラと金色のジャムが光っていた。
     
    「カイン、食べさせて」
    オーエンがそう言って甘えてくるのでカインはクッキーを一つ取ってオーエンの口に運ぶ。良質なバターと小麦粉の香りと酸味のあるジャムの香りが広がる。オーエンは気に入ったようだ。

    「カインにもあげる。ほら、あーん」
    オーエンがクッキーを半分咥えて口元に近づけてくるので、カインはどうして良いかわからずとりあえず口を開けた。クッキーを半分齧ると、オーエンの唇に俺の唇が当たった。クッキーを咀嚼しているとオーエンが俺の唇についたジャムを舌で舐めとって来る。自然と唇が開いて、オーエンの舌が侵入してくる。まだジャムが口の中に残っているのに、オーエンに口の中を舐めまわされてカインは息が上がった。

    「おいしかった?」
    耳元でオーエンに囁かれて、クッキーの味なんてわからなかった。肯定すればキスが良かったと返すようなもので、カインはどうしたら良いかわからない。俯いてると、くるりと後ろを向かされて、オーエンと正面から向き合う形になった。

    「もう一個食べる?」
    それは、もう一度口付けがしたいかと問われているも同然だった。カインは先ほどのキスで身体に熱が灯ってしまった。コクン、と頷くとオーエンが唇を重ねてくる。
    今朝の鍛錬は休むことになりそうだ。
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    Replies from the creator

    Alice_owcai

    DONE付き合ってるオーカイのSS
    身体の関係があることを匂わす描写があります
    オーカイワンドロ「手紙」暗闇の中淡い光が発光し、誰も居ない部屋に何者かが足を踏み入れる。月明かりだけに照らされた薄暗い部屋の主はまだ戻っていない。今日は魔法舎の任務はなくグランヴェル城の仕事をして夕飯前に帰ってきているのを見かけたから、どうせまたバーで飲んでいるのだろう。明日も城へ行くと言っていたからそんなに遅くならずに帰ってくるだろうと思い、オーエンは自分のものではない椅子に腰を掛けた。
    相変わらず雑に物が散らかった部屋だな、と見慣れた部屋を見渡すとテーブルの上に綺麗な装飾のついた木箱が置いてある事に気付いた。いつもはここに置いてなかったなと思い、何気なく箱を開けてみる。そこには家族からの手紙や、家族皆が描かれた絵などが入っていた。騎士団の部下達からの手紙もあった。大切な物を仕舞っている箱なのだろう。暖かい家庭で人に囲まれて育ったカインらしい持ち物に、オーエンはすぐに興味をなくし蓋を閉めようとする。すると、ひらりと小さな紙が床に落ちた。なんだろう、と思って拾ってみるとそれは黄色の押し花が貼られた栞だった。売り物にしては作りが雑なので素人の手作りだろう。その下にあったのは家族からの手紙とは筆跡の違う、幼い子供が書いたような手紙だった。誰からカインに宛てた物なのかは分かっていた。オーエンは歪に折り畳まれたその手紙を開いた。
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