#1昔ながらの一軒家の六畳の和室に金色の大きな仏壇。線香を立てながら、この派手な黄金の世界に彼は行ったのだろうかと想像する。
親友が死んだ。いつだったか、学校を卒業してもおじいちゃんになっても、死んでもずっと一緒にいようねなんて、おかしくて馬鹿な約束をしたのに。俺をひとりにするなんて。
「薄情者め」
いや、自分から彼のもとから離れたというのに「薄情者」だなんて失礼な話だ。そもそも、親友の彼とは高校を卒業してからはほとんど会わなくなった。大学が違えば生活は全く違う。俺だけ地元から離れてしまったから、気軽に会うには遠すぎる距離であったし。
彼が死ぬ前日は飲み会だったらしい。酒を飲んで、猛暑だというのにクーラーが付いていない自室で寝て、それで死んだそうだ。
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