フェアリーテイルしとしとと雨が降る、肌寒い秋の日が、ここ何日か続いていた。その日も、今にも大降りになりそうな鈍色の雲が広がるなんとも気が滅入る天気だった。特筆すべきこともない、静かな、退屈な日になる予定だった。
最初にそれに気が付いたのは、マックスの読書感想文に必要な本を探すのを手伝っていたグーフィーだった。城から少し離れた別棟にある第2図書室で、ある事件が起きていた。
「ここです。王様」
第2図書室は、広さ50m×50m高さ4.5mの平屋で、緩やかなアーチの屋根に10m×10mの天窓が4つ付いた造りになっている。すぐ側には大きな楓の木が立っていて、四方に伸びる枝が、図書室に降り注ぐ陽射しを防ぎ、秋には鮮やかな紅葉も楽しめる。
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