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    solt_gt0141

    @solt_gt0141

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    solt_gt0141

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    伊地知さんが偶然を装って七海と会っている七伊。

    偶然を装う「七海さん、お疲れ様です」
    丁度帰ろうとしていたところで、出先から戻ってきた伊地知くんと会った。
    「お帰りですか?」
    「ええ。君は?」
    「これから書類作業を1時間ほどして退勤します…では、お気をつけて」
    足早で学内に入って行く彼の背を見届けてから私も高専に背を向けた。


    「伊地知くん?」
    自販機の前で佇んでいる彼に声をかけると、驚きながらこちらを見る。
    「な、七海さん、お疲れ様です」
    心なしか少し顔が赤い気がするのは気候が暖かくなったからだろうか。
    「どうしたんですか、自販機の前で」
    「大したことでは……新商品が増えていたのでなんだろうかと思って、見ていました」
    そう言われて自販機を見ると確かに新商品が増えていた。
    「無糖のストレートティーですか」
    「最近人気ですよね、無糖の飲み物」
    「……任務先でクリームパンを買ったので、飲んでみますか」
    物は試しと無糖のレモンティーを2本買うと伊地知くんは、きょとんと呆けた顔をしていた。
    「君も飲むんでしょう」
    「えっ?!私の分も買ってくださったんですか!?は、払います!」
    「結構です。この先にベンチがあるので、そこに行きましょう」
    その後、ベンチで隣に並んで座りクリームパンを半分に割って彼に渡した。
    美味しい、紅茶に合いますね等言って照れ臭そうに微笑みながら食べる彼を見ていると紅茶もクリームパンも一層甘く感じた。


    帰りのコンビニでロング缶のお酒を買い、公園のベンチで空を見上げながら飲んでいた。
    「七海さん」
    聞き慣れた声に目を向けると案の定、伊地知くんが立っていた。
    「お酒ですか?」
    「えぇ、無性に飲みたくなりまして」
    「明日ようやくお休みでしたよね。お疲れ様です」
    「君は明日も仕事ですか」
    「いえ…私も休みでして」
    「であれば……君も飲みませんか」
    自分用に買っていた、もう1本のロング缶をビニール袋から出して、隣に置いた。
    「良いんですか、私で」
    「ええ、どうぞ」
    ロング缶を手にしてプシュとプルタブを開けたところで自分の缶を彼に向ける。
    それを見て察したようで、互いの缶を当てて乾杯した。
    「改めてお疲れ様です、七海さん」
    「君も、お疲れ様です」
    さらりと吹く風に混じって、近くにある桜の木から花びらが流れてくる。
    花びらを見ながら「もう春なんですね」と呟いてお酒を飲む彼は、なんだか嬉しそうだ。
    「好きなんですか」
    「な、なにがですか?」
    「春が」
    「あ、あぁ…暖かくなって、桜も綺麗で……好きですね、春」
    先程より早いペースでお酒をごくごくと飲む。
    「ふ、何だと思ったんですか」
    ベンチにお酒を置いて、伊地知くんは眼鏡ごと両手で顔を覆い「笑わないで下さい」と小さな声で言った。
    両手の下の顔は耳まで真っ赤だ。
    そんな反応が可愛らしくて、もっとからかいたくなってしまい、静かに距離を詰め「伊地知くん」と声をかける。
    「っ、は、はい…!」
    「好きなんですか」
    もう一度同じ質問を投げ掛けると、肩を震わせて「う」や「あ」など、声にならない声をあげる。
    「私のこと」
    「っ、っ~~!!」
    反応を見る限り付け加えた言葉に間違いはなかったようだ。
    彼の返事を待ちながら飲む酒は、とても美味しかった。

    ※※※※

    「あの時の君の顔、とても可愛かったですよ」
    「今思い出しても……はぁ……恥ずかしい」
    付き合って数年経ち、風呂上がりにゆっくりソファでコーヒーを飲んでいると付き合う前の事を思い出し話題に出した。
    「にしても、あの頃はよく会う時間が被っていたような気がします。北海道や九州など、どこから帰ってきても丁度良いタイミングで君に会えた」
    伊地知くんがあからさまに目をそらした。これは何かあるなと思い、コーヒーを置いて顔を近づける。
    「伊地知くん」
    わざと耳元で名前を呼ぶと顔をますます真っ赤にさせ、観念して口を開いた。
    「私も七海さんのこと、高専生の時から好きでして……大人になってから尚更好きになって、仕事に私情を挟むなと思うでしょうが七海さんに会えた時とそうでない時とじゃ仕事に対するパフォーマンスが違うんです」
    「どう違うんです?」
    「いつもより頑張ろうって思いますし、少しでも話せたら嬉しくて…見計らって、偶然を装ってお会いできるようにしてたんです。貴方が帰って来るまで待ってたり、姿が見えたらお話できればと思って自販機の前で立ち止まってみたり……」
    あの頃の私は「偶々」彼に会えたと思っていた。
    だが違った。そう思っていたものは彼が図ったものだったのだ。
    「君の術中にまんまとはまった訳だ」
    何か言おうとした唇に自分のを重ねる。眼鏡越しの目が見開かれたと思うと、すぐ閉じて私の腕をばしばしと叩く。
    「どうしました、せっかく人が嬉しくなってキスしているというのに」
    「自分のやってきたこと説明させられて、キスされるなんて恥ずかし過ぎて……すみません、キスは落ち着くまで待って下さい」
    こんな可愛い人を目の前にして待てるかと思い、彼を横抱きにする。
    「えっ?!!七海さん!?待ってって言いましたよね?!」
    「策士な君があまりにも可愛いので、恨むなら自分を恨んで下さい」
    「そ、それは仰る通りなのですが……」
    「では、諦めて下さい」
    腕の中で大人しくなった彼を寝室に連れ込んだ。
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