花屋の君⑨ 七海とご飯を供にした日から2ヶ月経ち、世間はクリスマスの空気に染まっていた。店の中はポインセチアやクリスマスローズが多くなり、伊地知はクリスマスリースを作っていた。
そんな時、店の電話が鳴ったので出ると、こちらが名乗りを上げる前に相手は話し始めた。
『やっほ。伊地知、元気?』
「……五条さんですか」
名乗らず自分の名前を呼ぶなんて知り合いでこの人くらいだ。
『今日はプライベートじゃなくて注文だからこっちに電話した。胡蝶蘭を来週日曜の17時半に届けて欲しいんだけど出来そう?』
17時半であれば新田に鍵を預け、自分が配達に行けば定時に彼女を退勤させられるので時間はまず大丈夫だ。胡蝶蘭も丁度土曜が仕入れなのでそこで入荷手配をしておこう。
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