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    ベリーあつふみ

    @berryatsufumi

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    ベリーあつふみ

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    小手指のいつメン|コメディ

    ##会話文

    お誕生日会「さ、始めますか要圭を褒める会」
    「よぉーし解散すっぞ」
    「いやー! 帰んないで! 圭ちゃんの楽しいお誕生日会するんだからァ!!」
    「これから用事があるんで遠慮します」
    ――千早くんは帰りたいだけだなコレ。
    「圭ちゃんのお誕生日会より優先することなんかナッシング!」
    「あるだろ。オレは妹にメシ作ってやんなきゃいけねーんだよ」
    「確かにそれは大事だけども! ……じゃあさ、葵っちはご飯作り終わってから、瞬ピーは用事が終わってからでもいいから! 絶対ウチ来てねっ? 年に1回しかない記念日なんだから今日くらいいいでしょ?」
    「めんどくせぇ……」
    「一旦家に帰ってまた集まるんですか? 時間の無駄過ぎません?」
    ――相変わらず二遊間酷いな。まぁ僕も友人の誕生日会に行ったことないからわざわざすることなのか疑問だけど。
    「二人が冷たい……。ヤマちゃんは!? 来てくれるよね!?」
    ――あ、やっぱそうくるよね。
    「う、うーん……、少しだけなら……」
    「! えへへっ、やったっ! マブダチだもんね!」
    ――そう無邪気に喜ばれると悪い気はしない。男は男友達の誕生日にさほど興味がないので例え友人であっても誕生日がいつかなんて知らなかったりする。要くんの誕生日が今日だと言うことも今知ったばかりだ。
    「圭、オレは毎年祝ってるし今年も祝う」
    ――清峰くんの幼馴染マウントが始まった……。
    「ん? そうだったん? じゃあ葉流ちゃんは皆勤賞だねー。えらいえらい」
    「フンス。俺が一番祝ってる」
    ――要くんに頭撫でられて得意げな顔をしてるとこ悪いけど要くんを一番祝ってるのはご両親だと思うよ。
    「仕方ねぇから寄っててやるわ、数分だけな」
    「再集合の方が面倒ですからね」
    ――素直に行くとは言わないけど結局要くん主催の誕生日会には来るんだなこの二人。
    「よっしゃあ! そんじゃ飾り付けした圭ちゃんハウスをとくと見よ!」
    ――え、パーティールームにしたってこと? 自分で?
    「じゃ〜ん! どうよ!?」
    ――折り紙で作られたガーランドとたくさんの風船に囲まれた文字バルーンが僕たちを出迎える。ハーピーバースデーと並んである下の方のボードには手書きで『智将とおれ』と付け加えられていた。
    「そっか、二人の誕生日会なんだ」
    ――この世に要圭は一人しかいないが要くんにとってはもう一人の自分だから当たり前にこういうことをする。智将と脳内で喋ってる様子の要くんを見て藤堂くんが『キショ』と軽くツッコむけど要くんはめげずに言い返した。
    「いいじゃん。智将はおれ。誕生日だって同じなんだから一緒にお祝いするのは当然でしょ」
    「ん。昔の圭も今の圭も祝う」
    「なー。智将さんてばそんなことする必要ないって言ってたのよ? やんなっちゃうわまったく。勝手におれらでお祝いしとこっ!」
    ――彼は本当にその必要がないと思ってたから出た言葉なんだろうけど、内心嬉しかったんじゃないかな。同じ要圭なら『一人分』で充分なのに彼のことも考えているという事実が。実際はどうなのかわからないがなんとなくそう思う。
    「ではまとめて。二人とも誕生日おめでとうございます」
    「おめっとさん」
    「おめでとう」
    「おめでと。圭たちが生まれてきてくれた奇跡の日。めでたい」
    ――重いよ清峰くん。
    「ありがとみんな! 智将の分もありがとね!」
    ――要くんは嬉しそうにクラッカーを引っ張ってパンッと鳴らした。
    「智将、誕生日おめでとう。またくだらないこと言ってるって言うだろうけど言わせて。おれ、智将がいてくれて本当に良かったって思ってるよ。これからもよろしくね」
    ――僕には彼がどう返事をしたのか知るすべはない。でもきっと気持ちは届いたはずだ。どんな人でも自分を大事にしてくれる人を無下には出来ないはずだから――――――。

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    ベリーあつふみ

    DONE書き殴りメリバ

    智主と葉流主
     死んでから異世界、ではなく地続きの現世に転生したおれはもう一度『要圭』という名前を両親からもらう。しかし実親も、暮らしてる場所も、何もかも違う別人、同姓同名の他人として生きていた。
     前世は赤ん坊の頃に思い出した。未発達な脳には情報過多だったためキャパオーバーで知恵熱を出したりもしたが今は現世の記憶と今世の記憶を分けられるほど成長したので落ち着いている。

     そもそもおれの場合、人間としての死というより人格としての消滅だったっぽいので死んだという実感はあまり無い。痛みや死の恐怖があったわけでもなかった。
     ただ、ある日を境に精神世界で透明な壁に阻まれ、おれの声がもう一つの人格である智将に届かなくなった時はとても悲しかった。この時からおれの体が砂のように崩れていく幻覚を見る。智将も砂時計が落ちる早さでおれの存在を忘れていった。でも、智将の周りには頼れる友がいた。彼がおれを忘れたところで何の不都合もない。だからおれは安心して消えることが出来た。精神世界での体が全て砂粒に変わる最期の瞬間までおれの声が智将に届くことはなかったが、それでも別れの言葉を伝えたかった。
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