総評:
「そういうシナリオ、そういう物語なんです!」
「アッハイ(察し)」
作品として
良い所
物語としてのボリュームはかなりあるので、キャラクターの物語をたくさん読みたいという人には向いている
偽りから二白で完結、は分かるし「それなりに」はまとまっている
悪い所
読む部分が多すぎて、ゲーム部分がおまけのようについている所
黙々と敵を倒す感じになるので、達成感や爽快感が薄い
スタッフロールからあとが長い
何度もやりたいと思えるゲーム作品ではない
物語
すいすいと読めるが、長すぎて物語のテンポが悪い
細かいところまで良く堅実に書けているが書きすぎている、ずっと読むのがしんどい
場面転換が唐突
良くも悪くも、「書きたいことをすべて書いた」印象
ただ、プレイヤーの知りたいことは書かれていない
時々、「そのキャラクターが知り得ない、思わないこと」を言い出す
ゲーム部分
ずっと読んでいたところへ、唐突に戦闘が挟まる感じなのでリズムが悪い
敵を直接倒すことが少ない、勝手に殺されたり勝手に逃げたりするので
ゲームでの達成感や爽快感が得られない
特に終盤の偽トゥスクル勢との連続の戦闘にはなんの意味があるのか分からない
「また戦うの!?」がずっと続くので、嫌にもなる
(読んでいるだけで「また戦闘か!いい加減にしてくれ!」となったので実際プレイした人はそれ以上に嫌だったはず)
キャラクター
ハクがオシュトルに成り代わっているのに、やっていることがあまりハクと変わらないので、序盤から違和感がずっとついてくる
序盤で一度、散りのトゥスクルのような安定感があったので、書き手がそういうことをしたかったんだろう
周りの環境や人がハクトルに都合のいいように動くので、困難を乗り越えるというよりはクエストをこなすような感じになっている
キャラクター数が多すぎるせいか、キャラ間の絆だったり関係性、行動原理が見えにくい
特にライコウやウォシス周りはさっぱりわからない
逆にヴライとエントゥアは妙にしっかりわかりやすく書かれていたので、キャラクターを好きな人が書いていそう
ミカヅチも正直なところ物語の都合の良いように使われている感じがした
各国のありよう、特にトゥスクルは散りと様変わりしているが、散りとは別物、と思えば大体の国が同じような表現になっている
彼らはシナリオのために動かされているな、という印象
何を考え、何を思ってそうしたのか……は一部のキャラクターしか書かれていない
終盤は散りの流れをなぞっているのだろうが、そうしなくてもよかったのではないか
散りとの関係とか
ベナウィとクロウの話し方や行動がどことなく違う(成長して変化した、ではない)ので、散りとは別物、と捉えるのが一番良いと思う
現実時間で十年以上空いているので、トゥスクル勢は「新しく再構成された何か」と思うのが一番違和感ないと思う
アルルゥとカミュはエンナカムイでやってる雰囲気と同じようにしたくてああさせたんだと思うので、あんまり深く考えなくていいと思う