ねんねんころり地球、オービュロンの住む星より気温が高く、とても暖かい星、地球ではオービュロンが食べられるものも限られるし、ほんのちょっと温度の高いものに触れたら火傷してしまう彼にとっては原始的かつ危険な星だった。
この星で、信頼置ける地球人であるクライゴアの膝の上に陣取りながらごくごくと冷たい水を飲んで一息つく。
本当はコーラを飲みたかったが自販機が売り切れていたから仕方ない
目の前にはコーヒーがあり、このコーヒーを買ったクライゴアはその缶を握りしめていた。
同じように真似してみようとクライゴアの持つコーヒーに手を伸ばした瞬間高いところに持ち上げられてしまった。
「触ってはいかん、40度以上あるから火傷してしまう」
「オゥ…アリガトウゴザイマース…」
40度、それがオービュロンの触れるものの基準だった。それ以上では確実に火傷をする
それ以下である人間の体はオービュロンにとってとても暖かいものでこうして人間と接触しているとなんだか気持ちよくて寝てしまいそうになり、ちょっと体をクライゴアに預けると、クライゴアは構わないと言うようにオービュロンを撫でて眠気をさらに加速させた。
(相変わらずよく寝る子じゃ…)
昔オービュロンが睡眠不足で暴れた日をクライゴアは撫でながら思い出した。
オービュロンが暴れて手がつけられないとジミーからのSOSが来てジェットパックで皆が集まっていた昼間のクラブサトーに入ると沢山の雑誌やコードやグラスや布が宙に浮かんでいた。そういえばマイクがクラブサトーに貸し出しされていたなとマイクを見れば床に突っ伏して起き上がらない。
「マイク、立てるか?」
「何カニ押サエツケラレテルミタイデ、立てナイデス…」
ほかの社員も宙に浮かんでいたり壁に押し付けられたりしている、あのワリオでさえ天井に貼り付けられてなんともならないようであった。
「くらいごあサンモ…ワタシの邪魔スルデスカ?…」
「…いいや?そのつもりはないが?」
ピリピリした静電気のような空気、機嫌が悪いことは確かだ、ふと空気中より彼の意識が流れ込んできた
イライラ、グチャグチャ、グルグル…眠イ
口をへの字にして、オービュロンが手を怪しく動かす前にクライゴアはその場にしゃがみ込んだ途端、オービュロンも表情を変えてクライゴアに近づいていき、クライゴアは両手を広げて迎え入れた。
ポスンと倒れ込んだオービュロンは一度深く呼吸をしてから静かに寝る準備に入ると周囲の物は落下して一件落着と思いきや…
天井にいたワリオが落ちてきて大声をあげた瞬間またオービュロンは目を覚まし、また暴れかけてもう一度クライゴアがなだめて寝かした。
あれからどうも膝の上に座ってくるようになったし、そのまま熟睡されるようになってしまった…
はてさて、どうしようか…
(彼とはちょっとそこで会っただけなのだが…これでは帰れんのう…)
オービュロンの寝顔を見ながら満更でもなさそうにクライゴアは缶コーヒーを飲み始めた。