憧れの渦巻き生まれてまだ1ヶ月も経っていないマイクはクライゴアと買い物中にとあるものを見つけた。それは有名なゲームでも出てくる不思議なアメ、ペロペロキャンディだった。
横目でちらりと見ただけではあるが、あの渦巻が頭に残り離れない。
あの時にねだっていればとは考えたが了承は得られたのか?ともなる
だってマイクには味覚センサーが付いていないのだから。
だが憧れはその日から消えることはなく店頭にペロペロキャンディがあれば3分ほど見つめるようになった。
あれはどんな味なんだろう、虹色のグルグルが欲しい。どうやって食べるのが正解で、もし余ったらどうすればいい?
それを想像して楽しんでいた。
そんなある日マイクの手にクライゴアから茶封筒が渡された。
「ナンデスカ?」
「お小遣いさ、買い物の仕方を覚えただろう?欲しいものがあるならそれで買いなさい」
後で中身を開けてみれば10000円札が20枚も出てきた。クライゴアの金銭感覚はおかしいのかもしれないなと思い一度自分の部屋の引き出しに入れようとして結局一枚だけ取り出した。
せっかくもらったのだから財布と貯金箱を買いに行こう
そう思ってデパートにやってきたのはいいが売り場がわからない。
置いてある案内の地図をグルグル回しながら自分の位置を確認して、最終的には「上から全部見て回るか!」と諦めた。
買い物試験中に一度だけ来たことがある程度のデパート内はすごく新鮮でキョロキョロウロウロしていると迷っているように見えたのか店員さんが近寄ってきた。
そのたった一度の時にクライゴアへ上着を進めていた人だ。
「何かお探しですか?」
「エット、財布と貯金箱探しているデアリマス」
「じゃあ………3階にあるここのお店なら2つとも揃いますよ」
「アリガトウゴザイマス、行ってみるデアリマス」
今いるのは7階で早く行くならエレベーターに乗るのが賢いと思いボタンを押す。
チン、音がして開いた先には誰も乗っておらず、マイクは遠慮なく乗り込んで下に降りた。
平日の昼間だからか止まることなく3階に着くと開いた先には教えてくれたお店があって無事財布と貯金箱をカゴに入れることができた。
ふと、子供がいる方を見るとあのグルグルが置いてあるのが見えて近寄り、手に取ってみた。
こっそり買うなら、今がチャンスとばかりに1番大きな虹色のペロペロキャンディを購入した。
人もまばらな帰り道にある公園のベンチに座ると包装を剥いて恐る恐る1舐めする。
やはり味などしない。
味はしないがマイクは満足だった。
ペロ、ペロと大きい口で舌を小さく動かす。
一ミリくらい溶けただろうか、少し形が歪になった気がするがその状態を見てからまた舐めた。
何分くらいボーッとしながら舐めていたのだろう
「味覚が欲しいのか?」
振り返るとクライゴアが立っていた。
なんだか悪いことをしてる気分になってキャンディを背中に隠すとその行動に対して怒りもせずにそのグローブで包まれた手を頭の上に乗せてワシワシと手を動かした。
「ちょっとずつ進化させてやるからな」
隠していたキャンディをクライゴアに差し出し口の中に捻じ込むとガリゴリと音がして驚いて手を引っ込めるとあの綺麗な丸が半円になっていて近所迷惑になるくらい大声で泣いて弁償させた。