いちばん欲しいのは、君の温もり 君の初めての担当はこの家に今年産まれた子だと、しんしんと冷え込む空からその家を覗き込んで、チアキは顔をほころばせた。
ぷくぷくしたバラ色の頬と、やわらかなオリーブグリーンの髪色。穏やかな寝顔で眠っている。隣でベビーベッドを覗き込んで、ぴょんぴょんと跳ねているのはその子の兄だろうか。その傍に父親と母親がいて、兄の方を見て「飛び跳ねたら起きちゃうでしょ」と母親が注意する。
と、不意に眠っていた赤ん坊がパチッ、と目を開けたかと思うと、どんどん顔が歪み始めた。
「ふあああぁあぁああぁっ!!」
母親が慌ててその子を抱き上げ、父親が兄を叱る。
「ほら、起きちゃったじゃないか。悪いことしたからサンタさん来ないかもしれないぞ」
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