先日お話しした、没になった4作目のCoC作品。
「ハッピーエンドを探して」は、
本来、太鼓鐘貞宗のための物語になる予定でした。
2作目の「MYSTERY MUSEU」の頃からその片鱗はあったのですが。
貞ちゃんはずっと、自分より燭台切と仲が良い「ハセベクン」なる刃物に嫉妬していました。
燭台切の一番の親友は自分のはず。
長谷部が座っている場所にいるのは、本当なら自分のはず。
顕現順が遅くなったばかりに生まれた、そんな友情の矛盾。
それを貞ちゃんは一振で抱え、この本丸でずっと消化できないまま過ごしてきました。
貞ちゃんは人知れず、心のバランスを崩したまま暮らしておりましたが
ずっと笑顔だったので、多分誰にも分からなかったと思います。
そんなフラストレーションがたまり、
暴発をする予定だったのが「ハッピーエンドを探して」という物語。
タイトル通り、貞ちゃんは答えのない暗闇の中で
自分がたどり着くべき「ハッピーエンドを探して」おりました。
シナリオの中では、プレイヤーのフリをして他のメンバーと一緒にゲームを進めていきますが
終盤になると太鼓鐘貞宗は、プレイヤーの1人ではなく、悪の元凶に近い位置のNPCを担当していたことが判明。(KPに頼み込み、了承の下)
最終戦では悪のNPC貞ちゃんと、プレイヤーたちの戦いが始まる…という物語でした。
その最終戦の中で、貞ちゃんはずっと抱えていた長谷部への嫉妬と、燭台切への執着を明かし。力の限り戦い尽くして、対話の中で自分の納得のいく着地点を見つける…という流れだったのですが。
ゲームシナリオを踏襲しつつ、混乱を極めた最終戦の中では、
プレイヤーたちが貞ちゃんの心のケアを十分に行える時間も環境も整っておらず。
この物語の流れでは、貞ちゃんはハッピーエンドにたどり着けない。
この物語では、辿り着きたい結末に一番良い形でたどり着けないと判断。
そういった経緯があり、この物語(同人誌)は没になりました。
そうして、改めて少しだけ構想期間を置いて。
全く違う形で始まった「ぷちみち」という物語。
この中でなら、貞ちゃんは無理に暴走する必要もなく。
素直にこっそり抱えていた思いを消化できるかも知れない。
物語の展開に振り回されず、そっと物語の端の方で
誰かに思いの丈を相談できる環境が作れるかもしれない。
そうした目処が立ったため、この物語をスタートしました。
そんな、貞ちゃんを主軸とした「ぷちみち」裏話でした。
やっと、貞ちゃんは本丸の仲間に自分の思いを相談できたので。
少しずつ長年溜まった黒く澱んだ思いを昇華していけるかなと思います。
ここまでお読みくださり、誠にありがとうございました。
現在2ヶ月ほど続いてきた「ぷちみち」の物語。
結末はまだ未定の部分も多いのですが、
これからものんびりと彼らの成り行きを見守っていきたいなと思います。