護衛のゾンビが他陣営のサーヴァントに何人か殺されたらしい
動く屍には殺された、という表現は合わないだろうが 彼等はジュリアを守るという任務を全うしたのだ
僕は大泣きしながら帰ってくるジュリアを見て、ぎょっとした
どこか怪我をしたのかと思い聞いてみると
『家族が殺された』
なんて言うのだ
幸いジュリアに怪我はなかったものの、ゾンビたちが代わりにたくさんのダメージを負っていた
ジュリアがゾンビを気に入ってるのは理解していたが、そこまで感情移入しているとは思わなかった
だが、生まれてすぐ捨てられて楽しくもない孤児院で育ったと言っていたのだ
見た目や性格で左右されず無償の愛をくれたゾンビ達は家族も同然だろう(とは言っても、ゾンビは喋らないし、ジュリアに従順なだけだが)
…ジュリアは僕が死んだら、泣いてくれるのだろうか
ふと、頭にその言葉が過ぎった
サーヴァントの僕に「死ぬ」という表現は間違っているだろう
僕は自分の好奇心を止めることが出来なかった人生を送ってきた
だからこそ、気になってしまうのだ
ジュリアは僕の為に涙を流してくれるのだろうか
僕と出会う前のジュリアは、あまり楽しくない事が多かった様だがそれでもまだ幸せになれる道はあっただろう
今の彼女があるのは、僕のせいだ
目は見えないが、彼女の記憶に残酷な光景を焼き付けてしまった
彼女の性格をがらりと変えてしまったのは、僕のせいだ
彼女の家族になってしまったのは、僕のせいだ
ジュリアは家族を失った悲しさで今も泣いている
こんな時 本当の家族なら
良き理解者なら
「ほら、そんなに泣いてると可愛い顔が台無しだ」
「…ないてるジュリアは、かわいくないの?」
「いや、とびきりスーパー可愛いよ?」
「せんせいのうそつき」
「…まあ、それでも構わないけどさぁ」
「うそつき、うそつき」
「ねえ、家族ならまだ僕がいるでしょ」
「…うん、」
僕が君の父親なら
「ジュリア、僕は君をきっと幸せにしてみせるよ」
「…パパ、どこにも行かないでね」
「まあ、なるべく頑張るよ」