オレンジストラテジー「前々から思ってたけど、お前って結構律儀だよな」
「……馬鹿にしてんのか」
「違うってば。なんですぐそうやって怒んの」
「テメェが意味分かんねーこと言うからだろ」
さほど広くは無い店内。やはりそこまで大きくは無いテーブルで膝をつき合わせて向かい合っている凛が眉根を寄せる。
しかし本気でキレていないのが分かっているので、特に気にもせず置かれたおしぼりの封を切った。
随分と長い距離を歩いたのもあって、腰を落ち着けた途端に心地よい疲労感が体を回っていく。
本格的な夏まではいかずとも、少しずつじめついた暑さを宿し始めている空気が町中に満ちていて、ずっと露出していたうなじはおそらく日焼けしているのだろう。
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