お前の爪を塗らせてくれ(キラゾ未満)「ロロノア、酒やるから爪塗らせろ」
「はァ?」
「……意外だな。ちゃんと手入れがしてある。お前がやってるのか?」
「なァに当たり前なことを。切っておかないと皮膚に食い込むだろうが。ルフィだって爪くらい自分で切ってるぞ」
「でも、“麦わら“はヤスリまではしてないだろ?……お前の爪は綺麗だな」
「ハッ‼︎その“綺麗”な爪を塗りたくろうとしてんのは何処のどいつだってんだ。しかも、他所の船長の色をよォ」
「これしかなかったんだ。それにおれの船長だから問題ないだろ」
「……どこがだ」
「おい、まだ乾かねェのか」
「まだだ。あ!触るんじゃない!……あァ、また塗り直しだな」
「ああ!くそっ!!早くしろ!!」
「(やめる、と言わない辺り本当に律儀な奴)」
「船長の命と自分の命、天秤に掛けられたらどっちを取る?」
「んだ、そのくだらねェ質問。どっちもに決まってんだろ。おれはルフィを死なせるつもりはねェし、おれも死ぬつもりはねェ」
「ファッファッファッ……強いなァ」
「……足掻いて足掻いて打てる手も全部打ってそれでもダメだってんなら、一味の誰よりも先に首を差し出すのはおれだ。そこだけは絶対ェ譲れねェ」
「お前副船長じゃないんだってな」
「それはお前もだろ」
「おれは隣で闘う。後ろじゃねェ」
「違いない」
「よし、乾いたぞ」
「おー……見慣れない色が視界に入って集中できねェな」
「お前なら1週間でボロボロになるだろうからその間大人しくしとけ。お前んとこのタヌキに言われてんだろ?」
「チョッパーの差金かよ……」
「そう残念がるな。ただおれがお前と話したかっただけだ」