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    yksk_tny

    @yksk_tny
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    yksk_tny

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    ノイマン夢
    ポケとのクロスオーバー
    完全に自己満なのでご注意下さい
    タクシー運転手のノイマンさんとの出会い

    ノイマン夢お客様を目的地まで送った帰り道、ふと視線を反らした先で何やら人の周りを走り回るオレンジ色の物体が見えた。ゴーグル越しに目を凝らせばそのオレンジ色はパーモットであることか分かった。そして宥めるかのような身ぶり手振りをする人物はそのパーモットのトレーナーなのだろう。
    相棒のアーマーガアに指示を出して、ゴンドラを真っ直ぐにその人物の元へ向かわせる。

    「何かお困りですか?」

    目の前に突然降り立ったゴンドラに小さな悲鳴を上げた人物─女性は大層驚いた表情を浮かべていて、パーモットが両手を突き出して女性の前へ躍り出た。慌ててパーモットを止めようと立ち上がった女性がガクンと姿勢を崩したので、こちらも慌てて駆け出す。が、俺よりも彼女のパートナーであるパーモットの方が一足速かった。

    「あ、ありがとうパーモット。えっと、貴方は…?」
    「しがないタクシー運転手です。そちらのパーモットが貴女の周りを走っていたので…」

    怪訝そうな色を顕にする女性の警戒を解こうと身分証明書代わりのタクシー証明書を提示して、ゴンドラの中から救急キットを取り出した。

    「足、お怪我されてます…よね?貴女さえ嫌でなければ手当てをさせてもらえませんか?」

    パーモットの様子からして緊急事態であろうことは察しがついていた。そして先程の彼女の仕草で確信した。
    異性に触れられるのが苦手な人も居るため、あくまで提案を。怪我をしたのであれば応急処置だけでもして近くの町の病院へ連れていかなくてはならない。ともかく彼女の返答を待っていると

    「そ、そんな見ず知らずの方にそこまでしてもらう訳には…!」
    「じきに日没です。近くの町へ行くにも怪我をしている足ではパーモットと一緒でも時間が掛かってしまいます。この辺りはケンタロスや悪戯好きのヤミカラス達が沢山いますので…どうか甘えては頂けませんか?」

    この付近には好戦的なケンタロスに夜になればヤミカラスが群れを成して徘徊し始める。身動きが取れない彼女にとっては脅威そのもの。頭を下げて懇願すれば

    「あ、頭を上げてくださいッ!う、うぅ…す、すみません…お、お願いしても良いでしょうか…」
    「どうか謝らないでください。どうぞゴンドラへ」

    ゴンドラの扉を開けて、パーモットに支えられている彼女の手を取りゆっくりと座らせる。真っ白なフレアスカートを少し持ち上げて貰って、腫れている右足のバックストラップのサンダルを患部に負担をかけないように脱がせた。

    一旦冷やしてそれから固定しなくてはと、辺りを見回せば丁度近くに川が見えたので彼女に一言断ってハンカチを濡らす為に立ち上がった。

    「すぐに戻ります。アーマーガア、見張りを頼むぞ」

    高らかに声を上げ、グレーの見事な翼を広げる相棒に大きく頷いて川辺へ。漂うズピカの隙間を抜けて、ハンカチを浸す。うん。結構冷たいし、これなら多少でも患部を冷やせるだろう。

    「すみません…ありがとうございます」

    申し訳なさそうにする彼女はきっと人が良いのだろう。気にしないで良いと声をかけ、彼女の前へ再び跪いて濡らしてきたハンカチを患部に当てて冷やしていく。

    「今日はどこかお出掛けだったんですか?」

    流石に無言で手当てをするのもむずむずとしてしまって当たり障りのない話題を切り出して、相手の出方を伺うことにすれば

    「実はハッコウシティにパスタを…食べに…」
    「パスタ…ああ、海鮮一番のシーフードパスタですか?」
    「そうです、そうです!一度食べてから時々無性に食べたくなるんです」
    「俺も何度か食べに行ったことありますよ。取れ立ての魚介はやみつきになりますよね」


    ─患部を冷やしている間に軽く雑談を続けていくと、どうやらハッコウシティのレストラン海鮮一番で食事をした帰り道で足を挫いて困っていたのだそうだ。そこへ丁度俺が降りてきたのだと。

    「応急処置で固定はしましたが、極力負担をかけないようにしてくださいね。…今ならまだ病院もやっている筈ですので、お送りしますよ」
    「う、なにからなにまで…お代はしっかり払いますので…ハンカチもちゃんと洗ってお返しします…!お礼もさせてください!」

    何度目かの「気にしないでください」は彼女の「これ以上は私が耐えられません!」の何とも言えない悲痛な叫びを聞いてしまい閉口するしかなかった。やはり人が良い。

    「っはは、じゃあ今度レストラン海鮮一番のパスタをご馳走してください」
    「はい!必ず!」

    彼女の家があるボウルタウンへ向かうべく、ゴンドラの扉を締める直前にモンスターボールへ戻されたパーモットのこちらをガン見しながら下唇を噛み締めたかのような、絶妙な表情を見てしまって居たたまれない気持ちになった。

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