十二国記パロ十二国記パロ。
霊幻が王の場合。
数年前、触で流されてきた海客。
元々サラリーマンだったが、脱サラして霊能事務所たてたばかりだった。
そこでこの世界でも似たような仕事を始める。
言葉とかも大変だったが、頭はよかった霊幻、すぐに覚えた。
向こうでは髪の色は金に近い明るい色だったが、こっちにきては、くすんだ茶にになる。
自ら、仙を自称し、色々な相談を解決する。
便利屋に近い。
妖魔の仕業ですねと、断言し、なんとかごまかし依頼達成する。
運動神経も悪くないが、普通の人間なため、本物の妖魔退治はできない。
3年ほどまえ、子供が霊幻の元にやってきた。
すごく思い悩んでる。
自分の力を持て余しているらしい。
悩んでるところ、霊幻に会って、何か感じたもよう。
あなたも僕と同じですか?と。
霊幻、子供に諭した。
お茶がこぼれそうになったのを、少年が受け止めた。
それから子供を弟子にし、妖魔退治を手伝わせる。
モブと愛称をつけ、週に何回かくる約束を交わす。
最初は小さかったモブ、3年で中学生くらいに成長。
黒髪でおかっぱ。
髪を伸ばすよう、周りから言われたが、霊幻の、自分らしく生きろとの言葉に従い、伸ばさない。
伸びた髪を霊幻が切ってやるため、それが楽しみになってる。
特別に切ってやるよと、笑いながら、髪を切ろうとする。
本当は伸ばす予定だったが、霊幻の楽しげな顔、また髪をすかれる感触が気持ちよくて、されるがまま。
結局おかっぱのままにしてしまい、女官からしかられた。
弟がいる。
弟は麒麟でなく、普通の半獣。
モブが地上で散歩してるときに、両親を妖魔に殺された、幼い半獣を見つけた。
その半獣に律と名前をつけ、自分の弟として一緒に暮らす。
公私わけており、人前では、ーーきと敬語だが、二人きりになると兄さんと慕う。
モブのことが好き。
でもモブが麒麟であること、自分に力がないことにコンプレックスを抱いてる。
努力しており、頭がよく運動神経もいい。
本当は麒麟と一緒に勉強や食事などできる身分ではないが、モブ自らが希望したため、特例として認められた。
モブ、普通の麒麟とは異質の力を持っている。
黒麒麟で魔の耐性が強い。
非常に特殊で、体の中に、寄生型の妖魔を飼っている。
その妖魔の姿をみたものは今までだれもいない。
妖魔は麒麟に膨大な力を貸すが、麒麟の感情に大きく左右される。
感情が制御できないと、同時に妖魔も力を増し、最悪なケースだと、体を乗っ取ってしまう。
乗っ取られた麒麟の末路は悲惨で、自我がないまま、自分の王を食らったものもいれば、逆に処分される。
モブの場合、卵果の頃に。気づいた時には、既に浸食され共生状態になっていた。
普通の麒麟なら、浸食された時点で、汚れによって、卵が腐り死んでしまう病。
モブが黒麒麟だったため、生き残った。
妖魔の力で、不思議な力を自在に扱える。
原作の超能力そのまま。
その力は強大で、使役する妖魔がいなくても、、問題ないほど。
王を守るときは、その力を使って、バリアを張る。
最強の麒麟。
霊幻、モブの正体に気づかないまま、普通にこき使ってる。
ある日、モブと食事したとき、どこか気分悪そうにしてるのが気にかかり、問いつめる。
すると、顔色悪くしながら、実は・・・と、肉が食べれないことを伝える。
霊幻、なんで早くに言わなかったんだとため息。
モブ、顔を俯かせながら、師匠を落胆させたくなかったとつぶやく。
モブに諭す。
そして俺も大人だけど、実は酒が全く飲めない!と告白し、これからはちゃんといえとアドバイス。
それ以降、モブと食事するときは、肉抜きの料理にする。
また向こうの世界の食べ物をこっちでもつくってみせ、モブに食べさせる。
たこなしのたこ焼きを二人で食べる。
麒麟のことは知ってるが、モブの髪が黒で、天変した姿をみたことないため、どこかのいいとこの坊ちゃんと考えていた。
そして律のことを、乳母の子供で兄弟のように育ったものと推理している。
元来、麒麟は額に角があるため、そこを触れられるのを極度に嫌がる。
例外は自分の半身、王だけ。
霊幻、よくやったとモブの頭をわしゃわしゃなでる。
そのとき、おでこにも触るが、モブが嫌がることはない。
むしろすり付けるくらい。
エクボ、憑依型の妖魔。
人間に憑依して悪巧みしてたところを、モブに退治された。
その際、かなり弱体化される。
モブが麒麟だと知り、契約結ばないか話を持ちかける。
しかしモブ、いらないと断る。
モブの体に巣くってる妖魔の気配を感じ取る。
現在、契約は結んでないが、モブのそばにいる。
友達みたいな感じ。
霊幻、最初はエクボがみえなかったが、モブと契約し王になったとき、エクボが視認できるようになる。
しばらくモブの国に滞在してたが、王不在の国では、荒れる一方で治安が悪化。
そろそろ潮時か。
と、店をたたみ始める。
そのころ、王を探すため、奉山で待ってるモブ。
しかしたくさん人がくるものの、王は一向に見つからない。
時間を縫っては、霊幻の元にやってくる。
息をきらして、約束の日は必ず。
モブに別れを教えない。
モブの使いとしてやってきた律に、ここを去ることをつげ、モブによろしくと伝えてくれといい、荷物かつぎ、別れをいう。
モブが忙しいのに、悪いだろと笑いながら。
律の頭をなで、今までおまえの兄貴、こき使ってごめんなと。
そのままひっそり国をでかけたとき。
師匠と自分を呼ぶモブの声。
思わず振り返ると、そこには息をきらしたモブ。
律から話を聞いたらしく、モブ、霊幻にすがりつく。
霊幻、モブをなだめるように、事情を話す。
モブ、自分が守るからと必死に引き留める。
だからとすがりつくモブ。
霊幻、静かに王のいない国に、平穏はない。といい、安心しろ。
こうみえても悪運だけは強いんだ。
落ち着いたら手紙送るからよ。
となだめる。
黙ったままのモブ。
すると思ってもみない行動。
モブ、その場にうずくまり、頭を地面につける。
そして不思議な口上をのべた。
それは霊幻の知らないもの。
よくわからず、きょとんとしてる霊幻に、モブ、震える声で、今にも消えそうな小さな声で。
お願いです・・・「許す」・・・・そう言ってください・・・。
師匠・・・。
ボロボロ涙こぼす。
モブ、自分でもよくわからない。
王気がなんなのかも。
ただ師匠と離れたくない。その一心のみ。
そんなモブの姿に圧倒され、霊幻、許す。と答える。
そして泣きじゃくってるモブの頭をなでながら、これでいいのかと優しく聞く。
・・・はい。
こうして、新たな王は誕生した。
泣き疲れたモブ、気が抜けたのか眠ってしまう。
どうしたものかと、途方に暮れてるところに、周囲が騒々しくなる。
みれば、女官や護衛など凄い数。
霊幻、モブがいいところの育ちと睨んでたが、予想以上の大物と知り、冷や汗。
モブに妖魔退治手伝わせたり、時給が安かったことなど、後ろめたいことありすぎ。
俺、牢獄に入れられると、危惧してる。
一番偉そうな人が、モブと霊幻を観察。
モブのことをーーきと呼ぶ。
探しました、早急にーーへお戻りください。
人が待ってることを伝える。
ここでモブが麒麟だと初めて気づいた。
俺、殺される・・・!?と大混乱。
顔面蒼白で、なんとかごまかして逃げようと考えてる中、モブが起きる。
頼むからモブ、空気呼んでくれー、おまえの一言で俺の命が決まるんだぞーと必死に念じてる。
しかしそこは空気クラッシャーのモブ。
相変わらず、いつもののっぺりした表情で、
みつけました。
その言葉にざわめく周囲。
霊幻もよくわかってない。
そして改めて霊幻の方へ振り直り、言葉を紡ぐ。
ずっとわからなかった。
師匠とはじめてあったとき、心がざわついた。
それは師匠が僕と同じ、力を持ってるからと思ってた。
でも師匠に特別な力なんてなかった。
それでも僕は、師匠と一緒にいるあいだ、すごく幸せで、心が満たされていた。
今ならはっきりわかる。
これが、己の半身にであえた、喜びだってこと。
あのとき師匠から感じたのは、王気だった。
そう話し終えた後、静かに霊幻へ頭をさげ、礼をする。
それを合図に一斉に周りの人たちがひざまづく。
何がなんだかさっぱりついていけない霊幻。
見れば律も一緒になって平伏してる。
そこに耳元で誰かが囁いた。
おまえがーー国の新しい王様だ。
王宮につれてこられた霊幻。
観光気分で、王になった実感がない。
完全に他人行儀になってる律に、馴れ馴れしく接するも、態度変えない。
人目がなくなったあたりで、律にいう。
誰もいないときは、いつも通りに接してくれ。
それ聞いて、律、表情がいっぺんし、いつもの警戒心あらわの律に戻る。
相変わらずの毒舌。
俺が王って間違いなんじゃねーの?
だって俺、この国出身じゃねーぞ。
それ聞いて律、目を見開く。
ほれ、と身分証をみせる。
そこには、確かに別の国から発行された身分証。
どういうことですか?
心がざわついてる。
モブの幸せそうな顔が浮かぶ。
麒麟が王を間違えることがあるのかと、内心混乱してる。
王は天帝がつかわした麒麟によって選ばれる。
王はその国の国民から選ばれる。
王の血縁者は次の王にはなれない。
王になったものは、不老不死となる。
道理を踏み外せば、麒麟は失道し、王も一緒に死ぬ。
と指を折り、伝える。
しかしよくみると、その身分証、戸籍とは厳密に違う。
霊幻、告白した。
俺、海客なんだよ。
今から4年くらい前かな。
神隠しが起こるって島の調査してたら、急に嵐がきて、その荒波にのまれて、気づいたらこっちの世界に流されてたと。
そこで拾われて、訳も分からず下働きしてたらしい。
言葉もわからないし、行く宛もなかったため、見よう見まねで仕事をこなしていった。
幸い、要領がよく器用な霊幻は、あっという間に仕事を覚え、またコミュニケーションもジェスチャー混じりでなんとかやっていき、会話程度はできるようになったらしい。
そこでこの世界のことを知り、また帰れなくなったことを聞かされた。
元々家族とも疎遠で、仕事も脱サラしたばっかりで、特に未練はなかった。
ならばこの世界でもうまくやっていけるはずと霊幻、暇さえあれば、どん欲に勉強し、知識を吸収していく。
そしてその仕事場ですっかり馴染み、身分証発行手続きした。
さらに自分がおかれてる状況も把握。
ある日、計画的にそこから逃げだし、旅した模様。
お金は脱走する際に失敬したらしい。
給料なしで、こき使われた分、もらっただけと本人は主張。
色々ハプニングはあったものの、持ち前の悪運で、この国までやってきて向こうの世界でやってたような仕事を始めたという。
世界は違っても、人間の悩みってのは、共通なんだなと思ったらしい。
その間も、客から情報聞いたりして、知識集めていた。
ネットサーフィンできない代わりに、情報収集するのが趣味になる。
などのことを仰々しく語ってみせる霊幻にため息。
バカですかあんた。
そう一刀両断。
ーー国は王もいて、この国よりも安定してるのに、その国を出てるなんて。
いやあの国、海客とかの偏見あったし、妖魔でるなら、俺の仕事にもちょうどいいかなーなんて・・・。
ここで律、教えてやる。
たいか。
たいかの説明して、こう聞く。
向こうにいたときと比べて、身体的に何か変化はありませんでした?
・・・あ。
間の抜けた声だした霊幻に、大きくためいきつく。
心当たり、あるみたいですね。
い、いやでも、俺が王ってありえないだろ?
モブは子供で、俺と離れるのが嫌で、つい・・・。
つい?あんた、麒麟という生き物を何も知らない。
麒麟はとても誇り高い生き物で、決して人に頭をさげたりしない。
己の王以外に。
さらに麒麟は、額の角を触られるのを酷く嫌がると教えてやる。
律、霊幻がモブの頭を撫でてる光景をみたことある。
そのとき、モブが嫌がりもせず、むしろ嬉しそうに受け入れてるのをみて、驚いたほど。
いや、でも・・・と口ごもる霊幻に、律、こう言う。
確かにあんたは胡散臭いし、麒麟である兄さんを妖魔退治に使ったり、とんでもないことした。
でもそんなあなたを、兄さんは選んだんだ。
これ以上、兄さんが選んだ人のこと、悪く言わないでくださいと。
宮廷で、審議がはじまる。
まだ勉強中だが、元来飲み込みが早い霊幻、すぐにシステムを理解。
朝議に参加してる間、相手の顔を観察してる。
そばにいた律、不思議に思う。
終わった後、物憂げに考え込む。
そして、そばに控えてた官の一人にーーとーーの資料持ってきてくれる?
そういって、資料もらって、なにやら他の資料と見比べてる。
やっぱり、案の定か。
大きくため息。
ーーとーー、予算着服してる。
念のため、他の奴らも調べてみるか。
それに驚く律と、感心したように声をあげるエクボ。
あくどいこと考えてる奴の顔ってのは、みればわかる。
仕事柄、見抜くのは得意だしな。
会社での経験も生きてる。
一度、編成しなおすべきかと考える。
俺を騙そうなんざ100年早い。
詐欺師だからこそ、同業者の臭いに敏感。