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    ナンデ

    @nanigawa43

    odtx

    何でも許せる人向け 雑食壁打ち

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    ナンデ

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    アレメリ アレルノ
    二人で正妃と寵姫やってる
    途中かけの落書き状態

    らくがきアレルノ アレメリ

     コルニアの太陽には月がふたつ在る。月たちは街の露店での井戸端会議や、酒場での雑談の中で剣の正妃と槍の寵姫と呼ばれ、愛されていた。
     ただし、ユークイットでは別だ。ユークイットでは槍の寵姫を呼ぶ時に、唾を吐く者がいる。彼、彼女らの胸元には極悪非道の領主とこの十年囁かれ続けたルノーの悪政で亡くなった家族の写真入りのペンダントが光っている。忘れられないのだ、家族の仇を。彼らは国王であるアレインを崇拝していても、正妃であるメリザンドを愛していても、ルノーを受け入れることは出来なかった。今や鎧よりも木綿のガウンとローブの姿でいることの多くなったルノー。王宮の一室で猫の子のように長椅子に寝そべり、日を過ごすというルノー。正妃と親子のように仲が良いというルノー。ああ、憎らしい!ルノーを嫌う者たちは皆、ルノーの幸せに自分たちの有り得た未来を重ねる。操られていたとは言え、本人に記憶がないのだとは言え、自分たちを蹂躙し続けたのはあの顔だ、あの声だ、あの男なのだ……。
     槍の寵姫ルノーが国王アレインの馬に跨り、ユークイットの街の外れにある教会に祈りを捧げに行く道すがら、石を投げる者は少なくない。寵姫は石を避けない。馬にさえ当てなければ、彼は石を受け入れる。どころか泣きながら「私の息子を返せ!」と怒鳴る老婆の足元に跪き、頭を下げ、ほとほとと涙を零すこともあった。
    「ちょっと!何をしているの!」
     正妃メリザンドが共にいる時は、投げた石はルノーまで届かない。メリザンドはさっそうと馬を降り、周りの従者たちが止めるのを制しながら、涙と鼻水で顔をぐしゃぐしゃにした年配の女の元へ向かう。
    「危ないじゃないの、当たったらどうするつもり?」
     言いながら、女の手を握るメリザンドの顔は優しい。女の水仕事で荒れた手をさすりながら、「話を聞くわ」と言う。一国の妃らしかぬ振る舞いは、しかしここコルニアでは日常の風景なのである。
    「悲しいのよね、悲しいから腹を立てているんだわ。アタシたち、今から教会に祈りを捧げにいくの。ガレリオスのせいで亡くなったコルニア国民たちの為に。ねえ、あなたも一緒に来ない?」
     女は自分の手をさする妃の手が分厚く硬いことに気が付く。指に豆があることも。正妃はコルニアの剣だ。解放軍の中でも最も前を走り続けたアレインの隊の一人だ。コルニアのアレイン王子が守り、ドラケンガルドのギルベルト王子が鼓舞し、パレヴィア正教の司祭であるスカーレットが癒し、メリザンドは舞うように剣を振るい、ルノーの槍が勝利目掛けて真っ直ぐ穿たれる。今や街行く者みんなが知っている、アレイン陛下の英雄譚。その一節の中に謳われる剣のメリザンドは、今も正妃の中に居て、それをこの剣士の手が証明している。
    「ああ、あぁ……」
     女の息子も剣士だった。メリザンドと同じ手をしていた。




    「ねえ、ルノー……アタシ、別に第二夫人だって良かったのよ」
     夜着である丈の長いモスリンのシュミーズドレスの姿でルノーの部屋に訪れたメリザンドは、眠れないのだと言った。ルノーのベッドにはアレインが寝ている。ルノーは先程までの情事の後を覆い隠すようにワンピース型のナイトガウンをすっぽり被った上でモヘアで編まれた上着を羽織り、メリザンドを迎え入れた。
     アレインを起こさないようにバルコニーに出て、夜風を浴びながら事を始める前に従者に持ってこさせたレモン入りの水を二人で舐めるようにちびりちびりと飲む。水差しは汗をかいていて、中の水はぬるくなっている。
    「酸っぱいわ、蜂蜜は入れないの」
    「ええ、甘いほうが良かったでしょうか」
    「いいわ、別に。……アタシとする時の果実水には入っているから、違うんだなって思っただけよ」
     二人の間にひととき、沈黙が流れる。目を伏せてどうしたものかと考え込んでいるルノーに、メリザンドは吹き出して「ごめん、いじわるだったわ」と言う。
    「だって、ルノーったら城に来てからずっとよそよそしいんだもの。一緒に戦っていた時は、アタシの事猫の子みたいに叱ったくせに!」
    「あの時は貴方はまだメイエ家のメリザンドでした。今は違います。貴方はコルニアの正妃、私よりも上に御座すお方になりました」
    「でもアレインとえっちする時は、陛下じゃなくってアレインって呼んでいるじゃない?」
    「なぜそれを!」
     ルノーは焦りながらレモン水を一息に飲み干す。口元から垂れた水があごをつたい、胸元を濡らした。
    「……アレイン陛下が?」
    「ええ、酔っ払った時のアレイン陛下がね。やっとホドリックに接するような口調で自分と話すようになってくれたんだって嬉しそうにしてたわよ」
    「……ああ、他言無用だと言ったのに」
    「アタシとは、逆じゃない?あんなに気安く話してたのに、どんどん遠くなって……さみしいわ」
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    ナンデ

    DOODLEルノとアマ

    ・プレイ中の人間が書いてます。設定や関係性の齟齬が出ている可能性があります。
    たくさんお食べ、おおきな良い子ルノ+アマ


     闘技場での激戦を越え、三日。アーマリアは自身が言う通りよく食べた。大鍋いっぱいに作ったスープを吸い込むように食べ、焼いたパンは端から消えていく……解放軍が備蓄していた食料は矢の如き速さでどんどん彼女の腹に収まっていった。だからクロエが「買い出しに行きましょう」と言い出した時、みんなは安堵した。解放軍の料理番と自称する彼女の手には、アーマリアの食べる量を計算にくわえた計画表があったからだ。
     ところ変わって、バールバチモ。ルノーは街の真ん中で、さてどうしたものかと立ち尽くしていた。
     クロエに連れていかれた荷物持ちのレックスやホドリック、クライブやアデルの他は皆好きなように街に消えていった。ギャメルとマンドランはセレストに髪飾りを買いに。リディエルはアレインとトラヴィスを引きずってクロエへのプレゼントを買うのだと息巻いていた。オーシュはセルヴィやヤーナに連れられて古書店の方へ、ロルフとリーザは魔術トリオの護衛だと後ろをついて行った。魔術を使うあの三人と、弓を使うロルフやリーザは日々の戦闘でもアシストに回ることが多いからか、近頃は仲が良い。先日はオーシュが鍋いっぱいに作った料理を全員で車座になり粛々と食べていた。セルヴィが言うには「一言では言い表せない味がする」らしい。美味いのか不味いのかすら、誰も口にしなかった。
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