果たし得なかった約束を 「兄様、22日は誕生日のお祝いをいたしましょう」
今日も爽やか濃縮還元百パーセントの笑みを浮かべた弟が宣った。この爽やかの塊の中に色気が浮かぶようになったことは自分しか知らないはずだ。
「勇作さん、今の俺は一月二十二日生まれではありませんよ」
「それでも私にとっては大事な日です。弟の我侭だと思って聞き入れてはくれませんか」
前世、自分が手に掛けた腹違いの弟と今世で邂逅を果たしたのは成人してからだった。
それ故に前世同様、兄弟として育った時間もないため弟は何かにつけてイベント事を見つけては自分と過ごしたがる。
「今年は土曜日なのでしこたま飲んでお泊りするのも良いですね。ホテルでも良いですが、兄様がよりリラックスできることを考えれば自宅の方が良いでしょうか」
2367