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    Maue_3

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    Maue_3

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    「阿吽のビーツ」から思いついたデビューが決まる瞬間の紫組です。レイ視点(サクヤがデビュー)ver

    #サクレイ
    saclay

    いつか(レイver)「紫担当は、サクヤ!」

    がしゃん、と音がして、目の前が暗くなった。耳に届くグランツたちの声をどこか遠くの方に感じながら、その一言を噛み締める。
    ほんの数メートル隣に向けられた眩いスポットライトは、自分を照らしていない。このほんの少しの違いが、己と彼の絶対的な差を見せつけられているような気がした。レイは、すぐ横に立つ、けれど遠いところにいるライバルに視線を向ける。銀と紫の紙吹雪がひらひらと舞う光の中で、サクヤが立っていた。光に照らされたその額に滲む汗が、眩しかった。

    「サクヤ」

    眩しい光の中で、サクヤが振り向く。歓喜に震えて涙の滲んだ瞳がこちらを向き、少し幼子のように瞳を曇らせた。ああ、この男はやはり優しい。

    悔しさはもちろんある。デビューしたかった。このステージで、自分を応援してくれたファンに返したかった。二人で高め合う素晴らしさを知った。一人では辿り着けない、グループとしての良さを知ったからこそ、サクヤにだけは負けたくなかった。

    「おめでとう」

    悔しさも悲しさも全部ひっくるめた、心からの言葉だ。レイの言葉に、なぜかより一層涙を滲ませ何か言いたげなサクヤが、苦しそうに言葉を飲み込んだ。

    「レイがライバルでよかった」
    「ああ。私は、お前の一生のライバルだ」

    光に照らされたまま、センターステージに向かって歩き出したサクヤが遠ざかる。彼の言いかけた言葉を、言わずとも分かっていた。

    サクヤもレイも愛し合っていた。傲慢ではなく、真実だ。しかしそれを言葉にしなかったのは、いや、できなかったのは、ひとえにサクヤのためだった。いつだったか、「好きだ」と口にしようとしたレイを止めたサクヤは、迷子の子供のように、不安げな瞳をレイに向けていた。「待って」とこぼした言葉は、少し震えていた。無理矢理にでも言っていれば、何かが変わったのかもしれない。それでも、いつかサクヤが踏み出してくれると信じていた。信じていたかった。だから、言葉にしなかった。

    サクヤには、自分の持てる愛を捧げた。誰か一人をこんなにも愛したのは、恋をしたのは初めてだった。恋の苦しみを知った自分はもう戻れない。今からでも、戻れるなら戻りたい。こんな苦しみを、これから先もずっと引きずって生きていくのなら、知らなかったころに戻りたい。
    もし、インターナートでの日々がこれからも続いていたなら。いつかもう一度、好きと言う日が来ると思っていたのに。

    しかし、これが結末だ。これが、私たちにとってのエンディングなのだろう。
    まだなにも始まってもいない。微睡のまま、自分たちは物語を始めようとしなかった。明確な恋を始められなかった。サクヤの愛に甘んじて、自分は劇的でロマンチックで、傷つくことを恐れないような、そんな恋をしようとしていなかったのかもしれない。
    それを後悔しても、今となってはもう遅い。
    センターステージに立つ彼を見上げる。暗いこことは天と地ほどの差がある眩いステージに立つ、愛する男を見つめる。

    「サクヤ、おめでとう」

    小さな声で呟く。こちらに気づいたサクヤが、優しい笑みを返す。サクヤのパフォーマンスが、レイは本当に好きだった。

    もう、私から言えることはない。ただ一つ、わがままを言うのなら。

    「また、いつか」

    いつか、お前から好きと言ってほしい。
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    Replies from the creator

    Maue_3

    DONEサクレイオンリー開催おめでとうございます。直前に書いているので、誤字脱字あればすみません。修正したものは後ほどpixivにも掲載する予定です。多分…
    フェチズム高校生の頃、女性アイドルのグラビアを囲んで友人たちと話をしたことがある。この子は可愛い、この子の胸が大きい、この子は足が綺麗だとか。そういう話だ。昼休みの教室でワァワァ騒いだのは今となっては高校生らしい思い出のひとつかもしれない。その時、友人の一人がポニーテールについて熱く語っていた。正直、ロングだろうがショートだろうが、結んでようがおろしてようがなんでもいい自分にとって、彼の熱意はすごいと思いはすれど、完全に理解はできなかった。
    「つまりギャップってこと?」
    「違う!!何でそうなるお前はバカか!?」
    いつも周りをよく見て、人との争いを避けるような温厚な友人がそんな強い言葉を使ったのは、後にも先にもあの時だけだ。思えば、あれはフェチというやつなのだろう。あーあるよね、そういうの。足とか、指とか?その頃のサクヤはどこか他人事だった。可愛い女の子は好きだし、女の子が可愛くなろうと努力する姿も好きだ。だから、ある一点にそれくらいの情熱を持ったりすることは、これからもないと。そう思っていた。
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    Maue_3

    DONE表に上げたイッセイおたおめSSの画像じゃないverです
    青い光に包まれてその日はイッセイの誕生日で、同時にツアーの中日であった。
    候補生としてオーディションに参加してから、デビューしてからの現在まで、互いの誕生日はそれなりに盛大に祝い続けてきた。それまで誕生日のことを特に気にもしてこなかったイッセイが、少しは気にするようになったのもVS AMBIVALENZあってのことだろう。とはいえ、イッセイが誕生日に対して人よりも冷めているのは今も同じだった。
    これまでの感じやと、次のMCでサプライズケーキが出てくるんやろな。と、ドキドキもワクワクもせずに彼は考えていた。彼の頭では貰った時のリアクションやコメントに何を言うかがぐるぐる巡っており、そこには少しも楽しいだとか嬉しいだとかを考える余地はない。バクステでタイヨウとクックのデュエット曲を眺めながら水を飲む。そういえば、初めてライブで誕生日ケーキが出たんは、タイヨウやったっけ。あの時は泣いてコメントを貰うまでに少し時間がかかってたなぁ。なんて、随分と前のことを思い出してくすりと笑った。自分には到底できないことだ。可愛らしい、と思うと同時に、どこか羨ましかった。誕生日を素直に喜べて、サプライズに感極まる彼が、なんだか、羨ましい気がした。
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