いつか(サクヤver)「紫担当は、レイ!」
歓喜と悲鳴の混ざった声が客席から上がる。ステージの周りを囲む観客たちは、そのたった一言を様々な感情で受け止めていた。
サクヤは、それを薄暗いところで聞いていた。ほんの数メートル隣に向けられた眩いスポットライトと対照的に、照明のないステージは奈落のように暗い。スポットライトからこぼれた光が、サクヤの表情を薄く照らしていた。しかし、その足元は真っ暗だ。サクヤはその薄暗いところから、見上げるような気持ちで彼に視線を向ける。銀と紫の紙吹雪がライトに当たってチカチカと眩しい。その眩しさと声の真ん中に、レイが立っている。
「レイ」
眩しいステージからレイが振り向く。光の中で靡く髪が美しい。ああ、やっぱり彼はライトの下が似合う。
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