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    Maue_3

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    Maue_3

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    「阿吽のビーツ」から思いついたデビューが決まる瞬間のサクレイです。サクヤ視点(レイがデビュー)ver

    いつか(サクヤver)「紫担当は、レイ!」

    歓喜と悲鳴の混ざった声が客席から上がる。ステージの周りを囲む観客たちは、そのたった一言を様々な感情で受け止めていた。
    サクヤは、それを薄暗いところで聞いていた。ほんの数メートル隣に向けられた眩いスポットライトと対照的に、照明のないステージは奈落のように暗い。スポットライトからこぼれた光が、サクヤの表情を薄く照らしていた。しかし、その足元は真っ暗だ。サクヤはその薄暗いところから、見上げるような気持ちで彼に視線を向ける。銀と紫の紙吹雪がライトに当たってチカチカと眩しい。その眩しさと声の真ん中に、レイが立っている。

    「レイ」

    眩しいステージからレイが振り向く。光の中で靡く髪が美しい。ああ、やっぱり彼はライトの下が似合う。

    悔しさはある。デビューしたかった。14人で過ごした時間も、レイと共にライバルとして過ごした時間も、自分にとってかけがえのないもので、だからこそ光を手にしたかった。光に向かって手を伸ばして、掴みかけたそれがほんの一瞬の差で手を掠めた。

    「おめでとう」

    選ばれなかった暗がりから微笑みかける。心からそう言えた。サクヤのその言葉に何か言いたげなレイが、言葉を飲み込んで微笑みを返す。

    「お前がライバルでよかった」
    「俺も。レイと戦えて、幸せだった」

    光に照らされたまま、センターステージに向かって歩き出したレイが遠ざかる。彼の言いかけた言葉を、言わずとも分かっていた。

    レイに、愛されていると感じていた。自分もレイを愛していた。それを言葉にしなかったのは、崩れてしまうことが怖かったからだ。言えばもっと先に進めるかもしれない。でも、言わなければ今のこの微睡のような関係のままでいられる。そんな怯えが、サクヤの足を踏み留めさせた。レイが言葉にしようとするたびに、情けない自分は逃げていた。言葉にできない代わりに、できることはなんだってした。与えられる愛は惜しみなく捧げた。声に出せない臆病な自分が隣で愛することを許されたかった。

    初めてだった。こんなに臆病な自分を知ったのも、恋に後悔をしたのも。今からでも、戻れるなら戻りたい。あの時、俺が「好きだよ」と言っていれば。俺に踏み出す勇気があれば。それがあれば、今こんなに苦しくなかったのかもしれない。
    もし、インターナートでの日々がこれからも続いていたなら。いつか好きと言う日が来ると思っていたのに。

    でも、これが結末だ。これが、俺たちにとってのエンディングなんだ。
    俺が、始めようとしなかった。レイと二人で生きていくことを、レイに全てを捧げることを。なんなら、序章にすら立てていなかったのかもしれない。それを後悔しても、今となってはもう遅い。
    センターステージに立つ彼を見上げる。手を伸ばしても届かない光り輝くステージに立つ、愛する人を見つめた。

    「レイ、おめでとう」

    届くはずのない小さな声で呟く。なのに、レイがこっちを見た。サクヤに見つめられていることに気がついたレイは、美しい笑みを返す。

    もう、俺からは言えないから。もし一つだけ、願いを聞いてくれるのなら。

    「さよなら。またいつか」

    いつか、貴方から好きと言って。
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    Maue_3

    DONEサクレイオンリー開催おめでとうございます。直前に書いているので、誤字脱字あればすみません。修正したものは後ほどpixivにも掲載する予定です。多分…
    フェチズム高校生の頃、女性アイドルのグラビアを囲んで友人たちと話をしたことがある。この子は可愛い、この子の胸が大きい、この子は足が綺麗だとか。そういう話だ。昼休みの教室でワァワァ騒いだのは今となっては高校生らしい思い出のひとつかもしれない。その時、友人の一人がポニーテールについて熱く語っていた。正直、ロングだろうがショートだろうが、結んでようがおろしてようがなんでもいい自分にとって、彼の熱意はすごいと思いはすれど、完全に理解はできなかった。
    「つまりギャップってこと?」
    「違う!!何でそうなるお前はバカか!?」
    いつも周りをよく見て、人との争いを避けるような温厚な友人がそんな強い言葉を使ったのは、後にも先にもあの時だけだ。思えば、あれはフェチというやつなのだろう。あーあるよね、そういうの。足とか、指とか?その頃のサクヤはどこか他人事だった。可愛い女の子は好きだし、女の子が可愛くなろうと努力する姿も好きだ。だから、ある一点にそれくらいの情熱を持ったりすることは、これからもないと。そう思っていた。
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    Maue_3

    DONE表に上げたイッセイおたおめSSの画像じゃないverです
    青い光に包まれてその日はイッセイの誕生日で、同時にツアーの中日であった。
    候補生としてオーディションに参加してから、デビューしてからの現在まで、互いの誕生日はそれなりに盛大に祝い続けてきた。それまで誕生日のことを特に気にもしてこなかったイッセイが、少しは気にするようになったのもVS AMBIVALENZあってのことだろう。とはいえ、イッセイが誕生日に対して人よりも冷めているのは今も同じだった。
    これまでの感じやと、次のMCでサプライズケーキが出てくるんやろな。と、ドキドキもワクワクもせずに彼は考えていた。彼の頭では貰った時のリアクションやコメントに何を言うかがぐるぐる巡っており、そこには少しも楽しいだとか嬉しいだとかを考える余地はない。バクステでタイヨウとクックのデュエット曲を眺めながら水を飲む。そういえば、初めてライブで誕生日ケーキが出たんは、タイヨウやったっけ。あの時は泣いてコメントを貰うまでに少し時間がかかってたなぁ。なんて、随分と前のことを思い出してくすりと笑った。自分には到底できないことだ。可愛らしい、と思うと同時に、どこか羨ましかった。誕生日を素直に喜べて、サプライズに感極まる彼が、なんだか、羨ましい気がした。
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