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    鞘 柄

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    鞘 柄

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    書き始めたは良いけど多分永遠に完成しないやつ。
    めちゃくちゃ中途半端な所で終わってます。

    #ウマ娘
    umamusume
    #ウオッカ
    vodka
    #ダイワスカーレット
    daiwaScarlet
    #百合
    Lesbian

    ウオ×スカ/1初め、アタシは自分で自分を疑った。
    まさかそんな馬鹿げた事がある訳無い、って何度も何度も首を横に振った。
    なのに、何度考えても何度思い直しても──アタシは、ウオッカの事が好きになっていた。

    だって、そんなまさかでしょ?
    あんなにガサツでいい加減で、ただのカッコつけでバカでうるさいし滅茶苦茶な事言うしするし……極めつけは何かとアタシに喧嘩をふっかけてくる。

    そんな奴の事を好きになるなんてありえない
    自分でも、『悪シュミ過ぎない』って罵声浴びせたいほどなんだから……
    あぁもうッホント何なの何でわざわざアイツなんか好きになっちゃったのよ

    ───はぁ……一旦落ち着かないと。
    そもそもどうやって、アタシはウオッカの事が好きなんだって気付いたんだっけ……………




    最近、ペースを乱される事が増えた。
    走りでも、日常生活でも。

    アタシは先を行く走り方だから、ペース配分が凄く大切な位置にいる。
    ずっと先頭集団を走っておかなきゃいけない上に、後から追い上げてくる娘たちに追い抜かされないように、もし追い抜かされたら追い抜き返すだけの体力を残しておかなきゃいけない。
    だからちゃんと毎日のトレーニングで本番さながらに走って自分のペースを見つける。そのペースを体に染み込ませる。
    毎日それの繰り返し。
    どんな事があっても、いつも通りのペースで走れるって思ってた。

    なのに、違った。
    ウオッカがいるレースだけは、いつものペースが崩れてしまう。崩されてしまう。
    『絶対にコイツには負けない』って思ったら、つい脚は前へ前へと進もうと回転を早める。
    お陰でウオッカと走るレースだけいつも『ダイワスカーレット、意気揚々と先頭を進みますが…少しかかり気味かもしれせん』なんて実況をよく耳にする。
    実際それは本当で、レース終盤には練習の時程の余力は残ってない。
    最終的に1着や2着に入れるのは、それでも絶対に負けたくないと、気持ちが体力の限界を追い越してしまうからだ。

    レースだけじゃない。
    私は毎日夜遅くまで勉強をして、朝早くからトレーニングに出掛ける。
    体調を崩したらいけないから、一日のスケジュールは綿密に組んでいる。
    …………なのに、アイツの「あんま無理すんなよ〜」のかる〜い一言で、「今日は疲れたしもう休んじゃおうかな」なんて思って、結局まだ早い時間にベッドに入って眠りに就いてしまう。
    朝も「まだ外暗いし二度寝しようぜぇ」のだらしない一言で、整えたばっかりのベッドにダイブしてしまう。

    何でもかんでも、『ウオッカが言うなら』って思っちゃう。

    他にも色々。
    ウオッカの間抜けな寝顔を見たら緊張が解れるし、ウオッカが起きて来たら『よし、今日も一日頑張ろう』って思える。
    ご飯を食べてるのを見ると、『コイツってホント美味しそうに食べるわよねぇ』と自然に頬が緩む。
    グースカ寝てばっかりの授業中とは打って変わったトレーニング中の表情を見ると不覚にも『カッコイイ』なんて思ってしまう。

    …………つまるところ、私は四六時中ウオッカのことを考えている。
    それはもう、ウオッカがいない時でもいる時でも、嬉しい時でも悲しい時でも、本当にずぅっと。
    そしてふと、気付いた。

    「……アタシ、ウオッカの事好きだわ」

    ボソッと呟いた一言。
    自分でも、『アレ?アタシ今何て言った?』って首を傾げてしまったくらい、意味不明だった。
    でも、本当に腹立たしい事ではあるけど、一度好きなんだと自覚してしまうとあとは更に加速するばかりだった。
    90度直角の下り坂。というより崖。
    そこから落っこちてしまったアタシはもう戻れない。自由落下によって果ての無い底へ、底へ──アイツの魅力に沈んでしまう事しか出来なくなった。

    その結果、好きが募り過ぎて自分でも訳わかんない行動を取る事が多くなった。

    急に感情が決壊して大声で叫ばないと気が済まなくなったり、アイツのカッコいい所を見ると今までは純粋に『何よアイツ…カッコ良いじゃない……』って思えてたのに最近は脳内はまずハテナで埋め尽される。要約するとキャパオーバー。供給過多。
    逆にアイツの可愛い一面を観ると……節操も無く言ってしまうと、『抱きたい』って思っちゃう。アタシが男性に生まれてたらゴーカン魔になっちゃう所だった。

    そのくらい、自分の感情を抑えきれなくなってしまっている。
    自分でも盲目だって自覚はある。
    アイツが口開けてボーッとしてるだけでも、胸がいっぱいいっぱいになる。
    授業中に爆睡してるのも、当然褒められた事じゃないはずなのに『そんな所も好きなんだけどね』って思う。
    補習行きだって聞いた時も『ホントバカねぇ』って頬が緩む。耳はパタパタするし尻尾はギュンギュン回る。そのまま飛んでっちゃうかも。

    極めつけは──これはアタシが変態だとかそういうんじゃなくて──アイツのジャージを洗濯機に放り込む時に汗の臭いがしたら、「ああぁぁ……」なんて意味不明な呻き声をあげてしまう。これは汗の臭いに興奮してる訳じゃなくて、アイツが一生懸命走ってる姿を思い出しちゃうから。
    もちろん汗の臭いじゃなくても変な声は出る。
    アイツからシャンプーや柔軟剤の柔らかい良い匂いがしたら、思わず抱き締めたくなっちゃう。
    汗ふきシートとかの柑橘系の匂いがしても、爽やかなアイツの顔が脳裏を過ぎって1人で勝手にクラクラしてしまう。



    とにかく、何にせよ限界ってコト。
    どうやら落ち着く為の回想はどうやら全くの逆効果だったみたい。

    こんだけ好きな相手が同室、同チームなら何も問題は無い。毎日が天国───
    ─────なんて訳無い。

    むしろアタシはとてつもなく大きな壁にぶつかってしまっている。
    それは───アイツがとんでもない恋愛弱者って事。

    今どき小学生でもドキドキしないようなシーンでも、アイツは顔を真っ赤にして耳を垂らして鼻を押さえている。
    それでもアタシが見たい恋愛ドラマは付き合いで見てくれるから興味が無い訳では無いんだろうけど、流石にウブ過ぎる。
    それに……これが一番の難題だけど───

    ───ウオッカは鈍感過ぎる

    自分が誰かにそういう目で見られる可能性を全く考慮してないのか、こっちがどんなにアピールをしても「何やってんだお前」の一言で一蹴される。
    こっちはとにかく気付いて欲しいのにっ

    やれる事は大抵した気がする。
    最近は寒いから一緒のベッドで寝ようって誘ってみたし、たまにだけど食べさせ合いっこもしてる。歩く時には「女の子同士のスキンシップよ」とか何とか言って手を繋いでる。

    アタシが個人的に一番頑張った(と思う)のは、寝たフリをして寝言っぽく「ウオッカ…好き……」と呟いてみたこと。
    それなのにアイツときたら、「なんだコイツ。寝ててもアタマおかしいのかよ」と馬鹿にしてきた。
    オマケに「おぇ〜」なんて小学生男子みたいなマネもした。心底腹立つ。

    こんだけ色々したのに、ウオッカは全く気付かない。気付く気配もない。

    でも、もう限界だわ
    今日という今日は絶対にアイツに気付かせる
    告白……はしないけど、グイグイ攻めてやるんだから

    そう決意した時、補習からウオッカが帰って来た。




    「あ〜…部屋ん中あったけぇ〜」

    手を擦り合わせながら部屋に戻ると、スカーレットが何やら変な顔してる。
    怒っ…いや、笑ってる……?のか???
    感情すらも察せないレベルの変顔。
    でもまぁスカーレットの顔が変なのはいつも通りだし、特に気にすることもないか。

    …………ってか最近、前にも増して変だな。
    なんかよくわかんねーけど急に「最近寒くなってきたでしょ?しょうがないから一緒に寝てあげるわ」とか言って勝手に俺のベッドに入ってくる。
    どんだけ追い返そうとしても鋼の意思を持ってるのか、絶対に退かない。
    邪魔だって言いてぇ所だけど、1人で寝るより2人の方が暖かいのは事実だから黙っとく事にした。
    しかも理由も無く手を繋ごうとしてくる。
    俺だってガキじゃねーんだから、お手手繋いであんよされなくたって自分で歩けるのに。
    あとは……そう言えば変な寝言が増えた。
    寝言にしてはハキハキしてるような気がしなくもねぇけど、優等生サマは夢の世界でも優等生ヅラかましてんだろう。
    時々奇声をあげてこっちをガン見してくる時もあるし、何かブツブツ言ってる時もある。

    ま、何にせよ俺には関係ねぇか。
    どうせ勉強だのなんだのでストレス溜まってんだろ。
    そんな事より、今朝買ったのに補習のせいで読めてなかった雑誌読もうかな。

    本屋のビニール袋に入ったままの雑誌を手に取ろうとした瞬間、スカーレットが意味わかんねぇ事を言い出した。

    「ウオッカ、それアタシにも見せて」

    「……は?」

    「いやいやいやお前別にバイク好きじゃねぇだろ」

    「アンタがそんなに夢中になるバイクってのがどんな物なのか気になっただけよ」

    えぇ…いや、バイク仲間が増えたらそりゃ確かに嬉しいけど……一体どういう風の吹き回しだ?
    裏を勘繰らずにはいられない。

    「……わかった。でも俺もまだ読んでねぇから、読み終わったら貸してやるよ」

    とりあえずは鵜呑みして、その後で思惑を探れば良いか…………って、

    「……あの、近ぇんだけど……」

    「何言ってんの。2人で同時に読んだ方が効率的でしょ?……ほら、もっとこっちに寄りなさいよ」

    「いや……好きな雑誌読むのに効率もクソもないって言うか…………」

    あぁ、何言っても無駄だなこれは。
    でもよ……

    「…雑誌読みたいんだろ?じゃあ、俺の顔ばっか見てないで雑誌見ろよ……あんまり見られると集中出来ねぇんだけど…………」

    やっぱコイツ何か最近おかしいぞ…
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