オレだけの天使 誰かが恋をすることは罪だと言った。
あの日、廃墟同然のビルの屋上で見つけたのは何も知らない天使だった。
#########
「なんでこんなトコにガキが居ンだよ」
真っ昼間の繁華街。全てから逃れるように歩いて、たどり着いた場所は廃墟同然のビルの、手すりのない屋上だった。十数メートル下のノイズから切り離された静かな空間。剥げた塗装とひび割れたコンクリート、覗く鉄骨。そんな場所で齡十四のオレがそんなことを言ったのには、ちゃんと理由がある。
明るすぎる空の下。賑やかすぎる人の群れ。立ち込める煙草の匂い。喧嘩では収まらないような苛立ちを落ち着かせるために、人がいないと践んで来たココに、ソイツは居た。
サラサラの黒髪に、黒い学ランに包まれた白い肌。優等生然とした少年が壁に背を預けて眠っている。
3220