とある病院の個室に場地はいた。
目の前の白いベッドに静かに眠る一虎。
場地はベッドの直ぐ側に置いた椅子に座り、じっとその寝顔を眺めていた。
数時間程前の事。
道端で体調を崩し気を失ってしまった一虎は救急車で運ばれる事となった。
一虎が突如おかしくなってしまった理由。場地はそれを頭に思い浮かべた。
公園で一虎の横に立っていた、30代位だろうか…。パッと見特に怪しい所のないひょろっとした普通の優男に場地は見えた。
つい先程まで場地と一緒にいた一虎は特におかしな所のないいつも通りの一虎だった。昨日やってたお笑い番組について話していた一虎は屈託なく笑っていたのを思い出す。
場地が喉が渇いたと一虎をその場に残し少し自販機へと行ってる僅かな時間の事だ。缶ジュースを片手に戻ってきた場地の前にあったのは知らない大人の男に手を掴まれ顔を真っ青に染めた一虎の姿だった。
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