ここをあけてドンドンドン……!ドンドンドン!
重厚な城の扉は来客のノック、と呼ぶにはいささか激しい殴打によって、外側から今にも破られそうだった。ホールに響く破城槌のごとき轟音。これが体当たりではなく本当にただのノックだと言うのだから恐ろしい。
いつものようにお茶の準備をし、いつものように気に入りの菓子を持ってくると言う恋人を、城へと迎え入れた私は、しかし彼の姿を一目見た瞬間反射的に扉を再び閉めてしまったのだ。
「おじ様?いったいどうなさいましたの?ねえ、ここを開けてくださいませ。私です、貴方の可愛いロナルドですわ。」
扉越しに聞こえる愛らしい恋人の声は、哀れなほど震え。今すぐにでも謝罪して笑顔で出迎えたくなる。
3015