美大生有古×リーマン菊田さん美大生有古×リーマン菊田さん
途中まで
「えー今回の産学協同プロジェクトの窓口となる菊田です」
生活感のない人だ、そう思った。
後ろに緩く撫で付けられた髪はツヤを含み、襟元や袖からは白より鮮やかなシャツがのぞく。マイクを持つ指もすらりと長くその手首にはブラウンのベルトの時計が鎮座していた。
山奥で家と大学とを行き来する生活の中ではめったに目にしない。いや、その前だって見たことがあるか定かではない。時々、美術展なんかを東京まで見に行く時、たまたま通り抜けたオフィス街を行き交う人達はあんな感じだったかも。
美術科の棟では一番広い講義室、大きな窓を背に、よく通る声で彼は説明を続けた。
開発事業を行う企業の環境保全活動としてのアート展示。ざっくりいうとそういった内容だ。制作費の援助が受けられるのはありがたい。
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