コンプラ違反の七海さん(まだ違反してません!)「すまないな七海」
「いえ、仕事ですし」
今日は京都への出張のついでとばかりに京都校へと立ち寄り、家入さんから預かった品を庵さんに渡しにきていた。
用事も済んだ事によりさっさと東京へ帰ろうと歩を進めていれば、訓練帰りらしい東堂くんに出くわした。
「お、ブラザーの彼氏の七海一級術師」
「やめて下さいその言い方」
「ブラザーの彼氏?」
「彼氏ですけどもその呼び方は、普通に七海と」
彼氏ですけども。
東堂くんに捕まりながら早く帰りたいと思って撒こうとすれば、京都校の女子三人が追い付いてきたようで私を見るなり驚いた様な表情をしていた。
「あら、東堂のブラザーの彼氏の七海一級術師」
「はぁ……その言い方どうにかなりません?」
「じゃあ、コンプラ違反の七海さん?」
「まだギリギリコンプラ違反はしていません」
「(まだって言ったこの人)」
もう重たい溜息しか出てこない物だ。
どうしてこう広まっているんだ。
絶対に五条さんだろう……。
帰りますと一言告げて、歩き出そうとすれば、やってきた楽巌寺学長の姿にさっさと帰りたい衝動に駆られる。
学長はぴたりと私の前止まった。
止まらないでくれ。
「七海、いくら宿儺の器といえど、コンプラ違反はいかんぞ」
帰りたい……。
「まだコンプラ違反はしていません!」
まだ!