「オーバーオールの英雄」先生+モーガンぱちんと木のはぜる音に目を覚ます。
周囲は暗い。アパラチアの原野に夜が来たらしい。
死ねなかった、そう判断し身を起こす。
違和感に頭をさする。頭と腕には包帯が巻かれていた。あちこちにズレた巻き具合から、手当した人間の苦労が見て取れる。不思議と痛みは無い。
「気がついたかい?」
焚き火の向こうから優し気な声が届く。
肩幅の狭い男性だ。アジア人らしい。
眼鏡の奥の琥珀色が俺をじっと見つめている。
「君がこれを…」
こくりと頷く。彼は笑っていた。
「君はモーガン・スミスだろう?
俺だよ、同じボルト76のシュウ・ミナモトだ。君に戦闘訓練をして貰ったんだけど、覚えてはいないかな?」
思い出した。
そんな名前の少年に訓練をつけた覚えがある。教えた分だけ身につけて、あっという間に終了過程まで終わらせた者が1人だけいた。
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