塩くんと古徹さん(健全編) 薄暗い空間を飛び交うスポットライト。腹の底まで響くような激しい音。そして、その音すらかき消さんばかりに上がる歓声と熱気。
生まれて初めて訪れたクラブハウスは、どうやら僕にとって刺激的過ぎたようだった。
「す、すっごいなぁ…。ちょっとクラクラしてきたかも…」
脳を震わすような音の渦に、僕はお酒も飲んでいないというのに酔いそうになっていた。
たまたまSNSで好きなアーティストさんが出演するという情報を得て、それが偶然近場だったから来てみたものの、どうやらその選択は間違っていたらしい。仕事の都合で途中入場になってしまい、見たかったアーティストさんは既に出番終了。せっかくだから続きも見てみようと思ったが、その独特の熱気と雰囲気にすっかり気圧されてしまっていた。
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