▶ 背景
▷ とある世界の一部の都市が機械化した街。勿論その都市だけが機械面に特化している。そこでは人間と人間に造られた人形が住んでいる。
その都市だけの不思議な文化があり、人間は人形を家族として迎え入れることができる。制限はなく、自身が面倒を見きれるのであればいくらでも家族となって構わない。人形は迎え入れてくれた人間と家族として繋がりを持ち、その人間が求める奉仕を行うことが定められている。主に個人の家庭に迎え入れられる場合であれば、その家族の一員として楽しく過ごすことが奉仕になるだろう。
▶ 人間
▷ 私達と変わりない、平々凡々な人間。他の街と違い、この都市に住む者だけが人形と暮らすことができる。
人形を迎え入れねばならないという義務はなく、自身が迎え入れたいと思った者だけが迎え入れて構わない。その代わり、特注で頼むにはそれ相応の金銭と維持費が必要であるため、それなりに余裕がある者しかできないだろう。街を彷徨く人形を拾うことも可能ではあるが、今後のことがあるため先を考えず拾うことはお勧めされない。
人形を迎え入れた場合、人形と家族である証をつけなければならないが、その場合は何らかの方法で身につけるだけで構わない。故に人間のみ簡単に証を破棄してしまうことも可能であるため、人形を放棄するという件も増え始めている。
▶ 人形
▷ 専用の人形作家に特注で作られた人形のこと。見た目は人間と何ら変わりないものから球体関節だったりと、本当に様々である。容姿は勿論、性格や好みまで設定可能だが、その後の思考は人間との対話や行動によって変化する。動き出した人形はどんな形であれ本当の人間のように思考を巡り話すだろう。
最近は個人の家族としてもだが、仕事場での店員や職員としての需要も増えてきている。だが、業務用や特注されていない人形を生み出すことは禁止されている。
五感は搭載されている。食事は可能であり、内部の機械により自身にあったエネルギーに変換するので排泄の心配はない。どの感覚も指定がなければ正常値で搭載される。
人形は人間と違い壊れにくく、ある程度の故障であれば直せる。だからといって暴力を振るうことは良しとされていない。最近人形が放棄されている事案が増えていることから、人形を迎え入れる際にしっかりとした確認を取られることが多くなっている。身元も経歴もハッキリとしている人の元に渡ることは多くなっているが、その後のことは深く触れられていない。
▷ 人形
人間の家庭に迎え入れられた人形。基本的にはその家庭が頼んだ特注である。迎え入れられた人形──家族となった人形と分かるように、人形に持ち主である人間が決めたマークを証として取り入れることが義務付けられている。どこに表記しても構わないが、基本的には縫い付けることが主なので縫える場所であるとよい。それらがある限り人形は誰の物にもならず、その家庭の家族とされる。解消することも可能。解消の際は証を縫いつけた当人が外すかその部位を切除する他ない。
▷ 野良人形
何らかの形で人の手から放棄され、家庭から追い出された人形のことを指す。証は解消されている場合が主だが、そのまま残されていることも多々ある。この人形達は主に新たな人間に拾ってもらうまで街を彷徨うことしかできない。
▷ 廃棄人形
身体が破壊され、修復不可能となった野良人形の成れの果て。野良人形と変わらず徘徊している人形もいるが、その場から動けず回収車を待つことしかできない人形もいる。勿論そこから拾うこともできるが、壊れた人形を拾う者はあまり見かけない。
▶ 保護施設
▷ 人形を保護している場所。人間と人形であれば当然人間の方が寿命が短いため、遺される人形の為にと作られた施設である。人間達の介護施設と用途はほぼ変わりない。人形に理解さえあれば各々自由に過ごすため、ほぼ寮生活のようなもの。
人間が予め施設と契約し、自らが手放すときに引き取ってもらう形が主である。証の解消は家族同士で相談し決めて構わないものとなる。その後施設に引き取られた人形は、人形自身の意志を尊重し今後の生活を決めていける。
▶ 病院
▷ 人間のものとは違い、人形専用の医師免許を持った者のみがいる人形専用病院がある。オイルや鉄のにおいが充満していて、時折工事現場のような音が聞こえることも。
主に人形の不具合、欠損、定期検診などで訪れることが多い。人形を迎え入れた人間は行きつけにする病院を予め決めておくと後々大変楽になる。街公認の病院もあれば、医師免許があるかさえも不確かな病院もあったりする。金銭面に余裕があるのならば、口コミや信頼できる人が行っている病院を選ぶとよいだろう。