その相性は占わずとも「おや。ステイル様にしては珍しい分類の書物ですね」
ステイルが姉妹との休息時間を終え、ヴェストの執務室に戻ってすぐのこと。ジルベールの指摘にそういえばとステイルは瞬間移動で部屋に移すことを忘れていた本の存在を思い出した。
「ええ、まあ。先程ティアラから是非にとすすめられたもので」
表面上はにこやかに返し、ステイルはその本を手に取った。ヴェストがいる手前、目ざといジルベールを特に理由なく睨みつけるのは控える。普段目を通す機会はない分類なのは本当だった。
執務室を出た時は本を二冊手にしていたステイルが今しがた自分の机に置いた本は三冊。うち二冊は持ち出し可の王配業務関連の資料だが、増えた一冊は星座にまつわる書物だった。
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