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    tori7illust

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    あるぱ

    DONE三題噺のお題で作成した世紀末BL/30分最果てにて


     どうして、うつくしいものは脆いのだろう。ぼくは見下ろしながら、何度も繰り返しそう呟いた。チカリチカリと明滅するカラフルな光が、彼の肌色を奇妙な色へ変化させる。ぼくは床に座り、彼の顔に顔を近づけた。かすかに感じる呼吸音。思わず、ほっとしてしまう。
     ぼくがほっとするなんて、おかしな話だ。口元をゆがめ、立ち上がった。それから、薄暗い室内を見渡す。
     廃屋は荒れ果てていて、もはや人間の生活したあとも朧気だ。ただ大きなクリスマスツリーの電飾だけが、滑稽なほど景気よく光る様を、いつか彼は悪夢みたいだねと笑っていた。あれはいつだったか、と思い出すまでもなく、ぼくには三十二日と十一時間、二十三分前のことだと分かる。
     貴重なガソリンと発電機なのに、彼はこのツリーの電飾にそれを使った。たぶん、あの時からもう、だいぶ壊れていたのだ。
     ぼくは部屋を横切って外へ出て、雨水を集めるために作った仕掛けから、コップに水を汲んで彼の元に戻った。本来ならば濾過して、一度沸騰して冷ますべきということは理解していたが、いまとなってはそんなことはなんの意味もない。彼の生命がいつ消えたっておかしくないこと 1588

    kumo72783924

    PROGRESS魁のパート。ビール飲んでる。
    流心〜ドイツ編〜魁1
     十一月のドイツは想像以上に寒く、訝しがりながら持ってきたダウンが大活躍だった。見るもの全てが痛いほど新鮮に映る中、隣で穏やかに微笑む恋人が旅の緊張を解してくれる。距離も時差も超えて、こうして二人並んで歩くだけでも、思い切ってここまで来て良かったと思うには十分だった。
     ターミナル駅からほど近いその店は、入口の様子からは想像出来ないほどに中は広く、何人もの客が酒とおしゃべりに興じていた。柱や梁は艶のあるダークブラウンで、木製のテーブルや椅子が落ち着いた雰囲気を醸し出している。ぐるりと店内を見渡したときに目を引くのは、なんと言っても大きなビール樽だろう。その樽から直接ビールが注がれたグラスをびっしりと乗せて、店員がお盆を手に店内を動き回っている。その様子に目を奪われていると、店員の一人から“ハロー”と声をかけられた。こちらもひとまず“ハロー”と返すと、何か質問を投げかけられたようだったが、生憎俺は返す言葉を持ち合わせていない。助けを求める間もなく楓吾が最初の注文を済ませ、席に着くなりビールが二つ運ばれてくると、ドイツに来て初めての食事が始まろうとしていた。ふと向かいに目をやれば、赤銅色に染まるグラスの向こうで楓吾が再び店員と何やら話している。ガヤガヤと騒がしい店内で異国の言葉を話す恋人は、まるで別人のようだ。ひょっとして、話す言語によって人格も多少は変わるのだろうか。俺の知らない楓吾の一面があるのだろうか……そんなことを考えながら二人のやり取りをぼんやり眺めていると、楓吾がこちらに向き直って言った。
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