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    あるぱ

    一次創作のBLなどを書く

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    POIPOI 11

    あるぱ

    DONE三題噺のお題ガチャでひとつ/宇宙かぶりしてしまったな……/創作小説さようなら、ユニバース



     ハロー、地球の人たち。
     元気ですか?
     私は目下GN-z11銀河系内を浮遊中。あ、遠くでバチッと光ったやつは恒星の赤ちゃん。ここでは毎日そんな光景が見られます。星が生まれ、死に絶えていく。美しいけど見慣れてしまうとなんてことはありません。私はフライパンでポップコーンを作るところを想像します。ぽんぽん弾けて生まれて、時々できそこないのコーンが底に残ってるの。
     ハロー、ハロー。
     ここは地球から134億光年彼方。いまごろみんなはなにをしてるかな?


     モニターを閉じる。背もたれによりかかり、ひとつ息をついた。茶番だと君は思うだろうか。そうだ、茶番だ。そうでなければ私の脆弱な理性など、あの星が遠くで光って一度瞬く間に砕け散ってしまう。
     君のことを思うけれどもう顔はよく思い出せない。この狭いコクピットにはいって、どれだけの時間が経ったのだろうか。疑問はいつも私にとっての地雷だ。それを深追いすればきっと、私の脳みそは壊れてしまう。コツは、追いかけないこと。浮かんで思ったことは、そのまま流す。窓の外、漆黒の背景に転々と浮かぶ光の群れのなか。宇宙に。
     ハロー 1598

    あるぱ

    DONE三題噺で一本/創作BL/新入生と先輩の初恋と宇宙(偏愛とは???) 恋は彗星のように

     光の白色、シリウス、ヘイロー、定常宇宙論。

     四月だと言うのに、妙に暑い日だった。ぼくは心臓が激しく脈打つことを意識しないように、好きな言葉で頭の隙間を埋める。
     ボイジャー、シドニア・メンサエ、ダークフロー、重力レンズ。
     言葉はぼくの血管に乗って身体中に回る。不思議と少しずつ脈拍は落ち着きを見せ、胸に何か詰まるような感覚は消える。後ろから、真新しい制服の人たちがぼくを追い越して、高い声で笑った。もつれ合う三人はそれでもまっすぐ進んでいて、ぼくはなんとなく、子猫がじゃれ合う様を思い浮かべる。また心臓が急ごうとするので、ぼくは立ち止まって深呼吸した。
     目を閉じると、ふ、と視点が浮かぶような感覚になる。見えるのはぼくの後頭部、道行くぴかぴかの生徒たち、さらにぐぐっと視点が浮上して、学校の校舎が見え、自宅が見え、遥か向こうの街並みの際が、緩やかに歪曲している地平線まで見える。上昇していくと、晴れ晴れとしていたのにそこには実は薄雲が張っているのだと分かる。対流圏を越え、成層圏に及ぶと次第に空の青色は群青へ、さらには夜のような黒色へうつり変わっていく。これが宇宙の色 2162

    あるぱ

    DONE三題噺ガチャ/創作小説/30分/すぐ人が死ぬのなんとかしたい(書いてみての所感)とむらう人

     もしも真実があるとするならばここだ。私は扉を押し開けて、そう呟いた。そうだ、それ以外はすべて偽りだ。
     手元の懐中電灯を揺らし、真っ暗な室内に誰もいないことを確認する。深夜の会議室、誰かいるわけもなかった。
     持っていた紙袋を置いて、中のものを引っ張り出す。ジャケットを脱いで、シャツのボタンを外した。着替えを手早く済ませ、イスを引いた。ぎ、と金属の擦れるような音にぎくんと背筋が強ばる。大丈夫。守衛の見回りの時間は把握している。
     二つ折りのミラーを取り出し、長机に置いた。紙袋の底にあったずっしりと重たいポーチを持ち上げ、ファスナーを開けると中身がこぼれ落ちそうになり慌てる。その中からいくつかのメイク道具を、私は綺麗に並べた。下地(これが肝心だそうだ)、ファンデーション(雑誌にのっていたデパコスのやつ)、アイブロウ(違いがよくわからず百均で済ませた)、アイシャドウ(姉がくれた、高級ブランドのもの。紫色でキラキラしていて発色が良い)、口紅(質屋で売ってたシャネルだが、自分に合う色がよく分からなかったせいで自信はない)。
     化粧というのは手間もかかるし金もかかるものだ。私は机 1308

    あるぱ

    DONE三題噺のお題で作成した世紀末BL/30分最果てにて


     どうして、うつくしいものは脆いのだろう。ぼくは見下ろしながら、何度も繰り返しそう呟いた。チカリチカリと明滅するカラフルな光が、彼の肌色を奇妙な色へ変化させる。ぼくは床に座り、彼の顔に顔を近づけた。かすかに感じる呼吸音。思わず、ほっとしてしまう。
     ぼくがほっとするなんて、おかしな話だ。口元をゆがめ、立ち上がった。それから、薄暗い室内を見渡す。
     廃屋は荒れ果てていて、もはや人間の生活したあとも朧気だ。ただ大きなクリスマスツリーの電飾だけが、滑稽なほど景気よく光る様を、いつか彼は悪夢みたいだねと笑っていた。あれはいつだったか、と思い出すまでもなく、ぼくには三十二日と十一時間、二十三分前のことだと分かる。
     貴重なガソリンと発電機なのに、彼はこのツリーの電飾にそれを使った。たぶん、あの時からもう、だいぶ壊れていたのだ。
     ぼくは部屋を横切って外へ出て、雨水を集めるために作った仕掛けから、コップに水を汲んで彼の元に戻った。本来ならば濾過して、一度沸騰して冷ますべきということは理解していたが、いまとなってはそんなことはなんの意味もない。彼の生命がいつ消えたっておかしくないこと 1588

    あるぱ

    DONE月にタワー/創作BL/嫁に捨てられた飲んだくれ中年と、中年に下心のある行きずりの顔が綺麗な年下男/の話/昔かいたやつ。 月にタワー


     あの東京タワーのてっぺんをへし折って、あなたにプレゼントするよ、という馬鹿げた、いや、子どもじみた口説き文句は、しかし俺には十分に有効だったみたいだ。どこの誰とも知らない、ただ飲み屋で隣に座った青年に、俺は呆れるほど心を開いていたし、みっともないくらい甘えていた。

     それもあれもどれもこれも、アルコールという物質のせいだ。それに、三年前に結婚したばかりの年下の妻のせいだ。あれが、彼女よりも更に年下の男と不倫をして出ていったのは一昨日のことだ。当日は怒りのあまり記憶がないが、翌日には冷静に仕事に向かった。しかし更に一日たつと、もはや冷静でいるのも馬鹿げていると思い、俺は仕事を休んで昼間から飲んだくれていたのだ。
     昼過ぎまでは自宅で(そう、妻の居なくなった)飲んでいたが、急に人恋しくなり、家を出た。友人の誰とも話す気になれなかったので、とりあえず早い時間から開いている居酒屋を片っ端からハシゴした。その、何件目かのバーで隣あった青年は、二十代そこそこの、小綺麗な若者であった。いままで飲んでいた店でもそうであったように、俺は店主や、その店の常連を相手にぐずぐずと管を巻い 5381

    あるぱ

    DONE彼のもつ運命についての話/死のうと思ったけど髪を切ったらタイミングを逸した人の話。BL(といいはる)/書いてて長くなって飽きちゃったので駆け足/なんだかんだ2時間 通り過ぎる人たちは俺の事をまるで見えていないように振る舞うのに、肩が触れる数センチ手前で、ふ、とぶつからないように離れる。相手が避けているということは当然俺にも分かりきっているのだが、もしかしたら自分の周りに磁場があって、彼らと反発しているのではないか、などと、つまらない妄想が浮かんでしまう。
     通勤時間の駅のホームは、人でごった返していた。誰も隣に気を配ってなんてない。別に、特別俺が無視されているわけではない。
     つま先を何度か上下させ、点字ブロックの凹凸を確かめる。この先危険。それを知らせる点は、靴越しの足の裏ではあまりにも心もとない存在感に感じられた。
     微かに風を感じて、顔を上げた。ホームの入口に顔を向けると、二つ目のようにライトを光らせた電車が、駅にすべりこんでくる。伸ばしたままの前髪が、ふわふわと踊った。俺は足の裏で何度も点を確かめ、一歩前に出た。
     空気の流れが大きくなる。それに音。レールを擦るような甲高い金属音。足元を見る。あと一歩、あと一歩。
     昨日まであんなに躊躇っていたのに、今日は不思議と、まあいいかと思えた。
     俺の人生はここまでです。皆さんどうぞお元気で。
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    あるぱ

    DONE煮詰まってるので三題噺のお題メーカーで創作短文を書く
    なんのオチもつかんかったけど今後もちょくちょくやります。
    734文字/25分
    黄昏、その終わり

     足音がする。硬いブーツの底が、グラウンドを抉る。硬質で、退屈なほど規則的な音が。ぼくは窓の外へとつと顔を向けた。灼熱という喩えはいささか大袈裟かもしれないが、空いた窓から吹いてくる風は熱風で、真上の太陽を遮るものさえない校庭には、うっすらと陽炎すら見える。ずらりと並んだ少年兵たちは、一丁前に制服を着て――しかしそのサイズはちっとも合っていなくて、大抵はブカブカなのだが――訓練に勤しんでいる。
     年端もいかない彼らがまっすぐに前を向いて行進する足音だけが、この教室ではBGMだ。年端もいかない、そう、ぼくよりもほんのいくつかだけ歳かさの子どもたちの。
     名指しされ、ぼくは視線を動かして教師を見た。指定された箇所の英文を読み上げる。平易な英文だ。戦争がはじまってからこっち、教育などというものはほんの、駄菓子についているオマケのようなものだった。いまは平時ではない。学校はただ、ぼくたちという人間を、ストックするだけの保管庫にすぎないのだ。ぼくは早口で読み終え、教師を見た。彼は一度顎をしゃくり、黒板に向かって英文をチョークでうつす。
     足音がする。ぼくはまたグラウンドを眺め 869