カシャン…!パチン……!じんわりと伝わる鈍い痛み。気づけば4つめのピアスの穴が俺の耳に開いた。
ピアスを開ける時の痛みには慣れたけど、あいつの隣に違う誰かが並ぶことの痛さにはまだ慣れない。
高三の途中まで俺と宗介は所謂恋人同士だった。卒業後の進路でそばにいられないことを悲観した俺が宗介に別れを告げた。別れてから退寮するまでの間も特にギクシャクすることなく過ごしていたように思う。
卒業する少し前だろうか風呂上がりの宗介が暑いからと部屋でスウェットの上をおもむろに脱いだら鎖骨あたりにキスマークがあるのに気がついてしまった。思わず釘付けになり、「そ宗介……それ……」その言葉の先につまっていると、「ん?おぉ……これか。彼女につけられちまったのかな…。」とキスマークを撫でながら2段ベットの上へと登ってしまった。
別れてから特に何かが変わるわけでもなく過ごしていたからまさか宗介が彼女を作っていると思わなかった。この時初めて今までいつもそばにいるのが当たり前だと思っていた宗介がもう自分の恋人では無いことを痛感してその日は一睡も出来なかった。この痛みを何かで発散したくて卒業式の日に自分で宗介の目の色ような石のついたピアッサーを買い、開けるのに手が震えなかなか思い切り開けられず相当時間をかけたが何とか開けた。その時の痛みに蹲り、生理的に出た涙だと言い聞かせひとしきり泣いた。