ドゴオッ…という轟音と共に使われていない廃校舎の壁に拳がめりこんだ。鉄コンの壁にクモの巣状に走ったヒビの中央から、ズボリと腕を引き抜けば「おお~」とパンダと真希が完成をあげた。
その歓声を浴びながら、少し照れたようににこやかに笑っている虎杖悠仁の姿を伏黒、釘崎は狗巻棘を間に挟み、少し離れたベンチから眺めていた。
「盛り上がってるわね…」
「呪力ナシの拳で鉄コンぶち抜きは一度はやってみたくはあるだろ」
「そうかしら?まあ…狗巻先輩って喋らないからクールなイメージあるけど、実は割とお調子者よね。ねえ?」
「………」
「オイコラ無視すんじゃねえぞ」
「キレるな釘崎。いまコイツ喋るの禁止されてんだよ」
微妙な表情を浮かべていた“狗巻棘”はむぐむぐと口を動かし、そのまま何も言わずガクリとうつむいた。盛り上がっている狗巻以外の2年組と“虎杖悠仁”は、今度は砲丸投げを始めたようで鉄球が大砲かという勢いで宙を飛んだ。ガコン!と鉄球が鉄塔にめり込む音が響き、再度歓声があがる。
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