小咄②のおまけ 暗くなる部屋の中、部屋の明かりでは眩しさで先生が起きてしまうのではないかと危惧した結果、文机に置いてあった石油ランプを点けることにした。片手は先生に握られているため、片手でホヤを外す。先にねじで芯を出来る限り短くして炎の明るさを小さくしてから、文机下にあるマッチを拝借し、箱を銜えて何とかマッチに火を点ける。その火をランプの芯に移し、ホヤを被せた。
ふう、やれやれ。空いている手が利き手で助かった。一仕事を終えた気分で額を手の甲で拭う。
暖色の光を先生から遠ざけて、先生が起きるまでの間、気を紛らわせるために文机の引き出しに入っている書きかけの文章たちを取り出した。何かをしていないと暗い思考が少しずつ頭に染み込んでいく感じがあったからだ。
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