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    hii_f1116

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    hii_f1116

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    前に上げたΔドラロナの続き
    Δの副隊長ナチュラルに女帝にしてたんだけど、もしかして👙だったりする……?

    「はい、ご挨拶」
    「ロナルドです。よろしくお願いします」
    わずかに緊張した面持ちだった吸対諸君も、同じく緊張した様子でぺこりと頭を下げる彼に警戒心を解いたようだった。
    「えー。彼は私の家で飼う事になりました。必要な物の届け先はこっち当てでヨロシク」
    「えっ」
    「隊長」
    室内がどよめくが、私だって誰かに説明されたい。彼に聞いてくれと促せば「ドラ公!」と大声が響いた。
    「何で隊長の家に……?」
    代表して希美君が質問しても、目を左右に泳がせるだけで答えは出ない。う、とか、あ、とか苦し紛れの発声は意味を持たなかった。
    「ヌヌヌヌヌヌ~」
    「おや、お疲れ様」
    愛らしい丸ことジョンがてちてちと近寄ってくる。
    「そう、ジョン! 隊長さんは、なんか可愛い使い魔持ってるって聞いて! 俺、動物、好き!」
    「ヌ、ヌァ……?」
    突如舞台に引っ張り出されたジョンは、見知らぬ吸血鬼の声に心底当惑している。それにしても成程ね、ジョンか。
    「君の魅力にまた一人負けたらしい。今日からウチで飼うロナルド君だよ」
    「ヌヌヌヌヌン? ……ヌヌヌ」
    「そう、ウチで」
    「大丈夫! ジョンのドラ公取ったりしないから! あ~丸~~い。可愛いねぇ~ジョ~~ン」
    「ヌ、ヌヌヌヌヌヌ」
    「まあ、ほら、悪い子じゃないようだから……弟分だと思って」
    「ヌァ」
    もうすっかりジョンにメロメロなようで、抱えながらくるくると回る吸血鬼にされるがままのマジロは心配そうにこちらを見た。室内もジョンに魅了されたなら仕方がないかという空気だ。
    「じゃあ生活に必要な物聞きたいんだけど、ロナルド君ちょっと良い?」
    希美君に呼ばれて、名残惜しそうにジョンを下ろして彼女のデスクへ向かった。入れ違いにゆっくりジョンがこちらへ寄ってくる。
    「ヌヌヌヌヌヌ」
    「うん? 大丈夫だよ、ジョン。大型犬が一匹増えたと思えばいいさ。こうなればある程度は手当も出るだろうしね」
    「ヌ~」
    常日頃私の虚弱体質を気にかけてくれているマジロは、そうじゃないとでも言いたげに小さな手でぺしぺしと腕を叩く。
    「まっ、なるようになるでしょ」
    通常運転へと切り替わった吸対の隅で、背中を丸めて受け答えする吸血鬼を横目にそう呟いた。



    ガチャリと音を立てて解錠された扉を押さえて、身振りだけでどうぞと先を示せば、恐る恐るといった様子で男はマンションの一室に足を踏み入れた。
    「お邪魔します」
    「ただいまで良いけどね。今日から住むんだし」
    「何か、そういうの、久々で」
    慣れねえ、とむずがる様は奇妙な心地にさせた。
    「今までどうしてたの」
    「適当に。日光平気だしその辺で過ごしたり、仲間んとこ泊めてもらったり、親切な人にお世話になったり」
    「非行少年かヒモかって生活だな」
    親切な人にってつまりはそういう事だろうか。吸血鬼は見目が良いとは都市伝説の類いらしいが、彼は一般人が思い浮かべる吸血鬼を体現したような存在だ。この容姿なら自分が世話をしたいと名乗り出る者も一人や二人どころではないだろう。
    聞けばポロポロとこぼしてくる情報に、隠してはいないけど聞かれなかったからとか言うタイプかこいつ、と内心煩わしく思っていると、ビ と驚愕した気持ちを表すような電子音が聞こえた。
    「ビ、ビ~~ッ!」
    「おわっ」
    リビングに入ってすぐのところに鎮座している護衛機械──メビヤツが騒ぎ始めた。
    「メビヤツ待って! 彼は今日からここに住む吸血鬼で、」
    首都破壊砲を打たれるわけには、と慌てるものの、その心配は必要なかった。まるで生き別れた親と対面したみたいに大きな一つ目からボロボロと涙をこぼしている。え、メビヤツって泣くの?
    「メビヤツ……?」
    小さく、確認するかの如く彼が名前を口に出した。メビヤツは食い入るように彼を見つめる。青い瞳と一つ目がそうして目を合わせていると、彼は微笑んで自らの外套をその場でしゅるりと脱いでメビヤツに着せた。
    「俺のマント、預かっててくれる?」
    「ビ!」
    メビヤツにはどう考えても長いと思うけれど。それでも満足したのか一つ目を閉じて、機械はスリープモードへ移行したようだ。
    呆気にとられていると、合点がいったのか「機械には昔から好かれるみたいで」と口にする。ジョンと顔を見合わせる。ツクモ吸血鬼と化した機械を指しているのだろうけれど、機械の中でもメビヤツは気難しい部類じゃないだろうか。私の一族の備品なのに、何故か私もお父様もメビヤツ達からの当たりが強いんだぞ。
    「それより腹減った」
    言うが早いか、腹に手を当てて食事の催促をされる。念押しにぐぅとお腹を鳴らしたものだから、「……宅配頼もっか」と携帯端末を取り出した。
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