君のことが好きだった。図書館にいる男の子が気になる。
中学3年生、15歳。
私立校への推薦が決まっているから、そこまで必死に受験勉強に励む理由は無い。
同級生達は必死に最後の追い込みへと勉強をしている。
そんな場に私のような者は浮いてしまうから居づらくて、逃げ場所を求めて図書館にやって来た。
子供の頃は親子連れや読書を楽しむ人々で溢れていたけど、ここ数年人々の読書離れのせいか館内は閑散としてる。
却って都合が良いと、そこで昼から夕方頃まで適当に時間を潰すようになった。
子供の頃に読んだ絵本や、一昔前に流行っていたミステリー小説を読み漁りそれも飽きて来た頃。
彼は現れた。近くの中高一貫の私立校の制服を着た男の子。
歳の頃は私と同じくらい。黒髪に長めの前髪で真面目そうな雰囲気なのに左耳には揺れるピアス。
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