体臭(臭くはない) ロナルドくんは脇の下も股間もすぐむわむわになって暑くなって匂ってくる。本人に言うと気にするだろうから、言わないけれど。ロナルドくん若いから新陳代謝が活発で体臭が濃いんだろうね、ジョン。そう。ロナルドくんが汗かくとすぐ匂いする、分かる、汗かいてるって。それが不快なわけじゃなくてね。ジョン聞いてる?
ヌヌン?
不快じゃないよ。
濃い、若い命のにおいがする。
好きな匂いだ。
ただいま、とロナルドが帰ってきた時、ドラルクはロナルドの洗う前の三日原稿で着倒したジャージを羽織って、ジョンに笑いかけていた。あまりのことに、繊細なロナルドはドラルクを咄嗟に殺し、メビヤツがドラルクに弱めの光線でやんわり攻撃をした。
「君の匂いが好きだってはなしてたの!」
「嘘だろそんなん」
「嘘じゃないよ! ホラ! ジョンも!」
「ヌヌヌャヌイヌ」
「嘘じゃないって」
「はー? 信じられるか」
お前俺のことばかにして、くさいって笑って、って、とロナルドがぼとぼと涙を溢す。
「ああもう泣くんじゃない。あのね、君が汗かくとすぐ分かるって話だよ。悪いなんて言ってない。臭いなんて言ってない。濃くて若い命のみずみずしい匂いだよ」
「ほんと? おまえおれのこときらいとかくさいとか思ってない?」
「まあたまには思うけど、臭かったら正直に言うよ。そんな事で気を遣った事ないでしょ」
「それはそう」
頷いて、納得したロナルドがようやく帽子をメビヤツに預けた。メビヤツはビッと笑って目を瞑った。