浮気だって許されるって! いつまでも手を出してもらえない。
キスだって、そんなにしてもらえない。
もう俺は成人した。そして、晴れてダイゴさんの恋人になれた。
なのに、ダイゴさんとは恋人になる前と同じ態度だ。
俺……我が儘で、ダイゴさんを困らせていたのかな……?
「……ユウキくんって、変なところで自分に自信がないよね。」
一緒にお茶をしていたハルカが、そんなことを言う。
「は、ハルカ……さん?」
「なーに、いきなり『さん』付けして。」
「いや、その……『変なところで』って、何さ?」
ハルカはジャム入りの紅茶を一口飲んで、ふぅ、と一つだけ溜息を吐いた。
「それがね、言葉にするのが難しいんだ……」
「何だよ、それ。」
思わず溜息を吐いて俺もミルクティーを一口飲む。カロス地方のブランド紅茶とクッキーのセットの手土産は正解だったみたいだけど、ハルカの眉根は難しく寄ったままだ。
「ユウキくんって、いっぱい色んな事に挑戦したよね。」
「え、うん、そうだね?」
「アクア団と戦ったり、隕石を止めに行ったり、コンテストアイドルをしたり、色んな経験をしてきたよね?」
「まあ、うん、成り行きで……」
「でも、変なところで自分を信用できてないよね?」
「……そうかな。」
「そうだよ。何か変なところで自分に自信がないんだよ。」
合点がいったとばかりに、ハルカは満足げにクッキーを齧った。研究のお手伝いの影響なのか、ハルカは甘いものに目がない。おいしそうにクッキーを味わいながら、「でも、」と話を続けた。
「でも、ユウキくんが変に自信を持てないのってダイゴさんのせいもあるよね、絶対。」
「え、なんで?」
「ダイゴさんの置手紙を持ってユウキくんがすっごく落ち込んでいたの、わたしは、はっきりと覚えているからね!」
「え、まあ、落ち込んでいたけど……今俺が言ったのと関係ある?」
ハルカは眉にしわを寄せたまま俺のことをジッと見つめてきた。
「な……なんだよ?」
「ユウキくん、わたしと浮気しない?」