その暇があるなら寝てろ「やあおはルドくん」
実に数日に渡るオータム監禁ゲーム大会の末帰ってきた同居人は、にこやかな笑顔で片手を上げる。
夜の見回り前に仮眠を取っていたこちらを真上から見下ろしながら。
考えてもみてほしい。仮眠を取るために暗くした部屋、明かりといえばカーテンの外の夕日だけ、誰もいないはずの部屋で寝て、目を覚ましたら無表情でこちらを立ったまま見下ろすボサボサ前髪の吸血鬼。そいつが数拍の間を開けてにっこりと笑顔になって、そのままよこした挨拶がコレ。
意味がわからない。
「?」
反射で暴力が出て良かった、新手のおばけか夢かと思った。サラサラと塵になったところを見るとやはりこれは同居人らしい。とりあえずソファーベッドから身を離してその死体を確認しようとするとぐるりと再生した手に足首を掴まれる。
ずるり、砂から立ち上がった顔は死ぬ直前と寸分違わぬ笑顔だった。
「おはルドくん」
「死んだら直れや妖怪おはようおじさんさっさと寝ろ」
数歩先の、蓋の空いた棺桶の中ではジョンがうなされながら丸くなって寝ていた。
もしかして:起きてるロナルドくんと直接喋りたくて起きるまでずっと寝顔見てた