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    miho

    来世は推しの犬になりたい

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    えっちの最中のオズフィガ

    オズフィガ 夜のしじま。白いシーツのうなばらに二人の魔法使いが浮かんでいた。虫も寝静まる真夜中にオズとフィガロは向き合って、なにやら妖しげな秘め事でも行うかのようにフィガロはオズの膝元に乗って向き合っていた。いや、実際に行おうとする直前なのだけど。
    「びっくりした?でもね、オズ。これがキスだよ」
     ぺったりとしたうすい唇が乾燥したオズの唇に音もなく張りついた。まずは始めにとされた単純なキスにもオズは細い目を少し開いて驚いていた。キスをしたフィガロはそれを愉快げに眺めていた。
     赤ん坊とはどうできるのか、とただ一言訊ねただけなのに。なぜフィガロが女のように腰をくねらせて自分にすり寄ってくるのか理解できないみたいだった。
     当のフィガロは見たことがないオズの表情を引き出すのが楽しくなってきたのか、細い指でシャツのボタンを引っ掻いて外していった。
     ひとつ、ふたつ、みっつと。ついに最後のボタンを外し、ゆっくりと割くようにして前を開き、鎖骨から肩までの素肌を露わにした。部屋の片隅にあるオレンジ色の小さなランプの灯りがフィガロの青白い肌を薄暗く照らしていた。見たこともないフィガロのたおやかな曲線を描いた裸体にオズはごくりと喉を鳴らす。
     オズはとても困惑した。
     どうすればいい。どうすれば、この意味不明な状況を脱却できる。殺しはできない。ならば、逃げるか。オズは手を開いて呪文を呟こうとする。
     ところが、「ボ」と口を開いたところでフィガロがオズの尖った輪郭に手を這わせて、再びキスをした。まるで「逃げるのはなしだ」と責めるような、先程とは違う濃厚なキスだった。
    「ん、ぅっ」
     舌で舐められたフィガロの唇はしっとりと濡れており、オズの唇の薄い皮に触れ合えば小さく音を立てた。二度目のキスは味があった。芳醇な葡萄の渋みと気品高いアルコールの香気が唾液に交じり合って、すぐに人を酔わせるような質の悪い酒の味だ。
     きっとフィガロがさきほどまで飲んでいたワインの味だ。すぐにオズは気がついたが、もう遅い。
     呪文を呟くために少し開けた隙間に平らな舌が入り込み、オズの口内を好き勝手にかき回した。器用な舌先で歯のつるやかな表面を撫で、歯茎の奥をなぞる。それでも初めてキスでオズがだらしなく唾液がこぼれないように配慮したのか、フィガロはタイミングを見て呼吸ができるように唇との間にすきまを作った。
    「っあ、や、ふぃ…がぁっ、」
     オズはそのすき間を狙ってそやめろと言おうとした。
     もちろんそんなことをいうために開けた隙間ではないため、「やめろ」と「フィガロ」ということはできず、言葉ではない喘ぎがこぼれた。続けてぼたぼたと粘度を持った唾液が垂れて、それは小さなシャツの染みとなった。
    「ん、ぅっ……さて、こんなものかな?」
    「ふぃが、ろ」
     お互いに酸欠になり、はぁはぁと熱気がこもった息が交差する。フィガロの頬はまるで受粉した花弁のようにほんのりと赤みがついていた。まるで熱を出しているかのようだ。オズは目の前の人物にこの行為の真意を問いたださなければいけないのに、その赤みと熱に引かれて手を伸ばした。腕を握る。オズの、皮膚の下に流れた沸騰した血液の温度を感じたフィガロは艶やかに笑う。お前にしては上出来な始まりだよ、と言うみたいに笑う。
    「そうだ、オズ。だいだいのセックスはこんな風に始めるんだよ」
    「……?」
     フィガロの白い滑らかな肌に触れて力を入れれば、ほどよくついた筋肉とその肉の表面を覆うように這う血管の中に流れる液体がゆがむ、生々しい柔らかさを感じた。自分の中でぐわりの茹であがる“なにか”を感じ、目の前の男を睨む。男はいまも笑っていた。しかしその表情に、皮膚の内側に、瞳に、得体の知れぬ蠢くものを見た。
     いったいなんだ、これは。
     さらにオズは困惑する。ソレを形容する言葉をオズは持ち合わせていなかったのだ。目の前の人物の、肌の体温、肉の感触、濡れた表情とその奥に隠れた情欲を学び、その先にある自身の内側にある欲情を表す言葉を知らなかった。言葉を知らぬものを感じた瞬間、紙のように薄い恐怖を抱いた。しかしそれを塗り替える“なにか”だ。
     なんだのだ、この、あつい、なにかは。オズは猛烈にフィガロのシャツを裂いて、その肌に噛みつきたくなった。表面の一番薄い皮膚を破り、自分の歯で、印をつけて喰ってやりたくなった。
     フィガロはいまも笑っている。そうとう酔っているようだ。
    「ふふ、お前も生物だってことをセックスの時に実感するとはね」
     熱に浮かれたオズは獲物を狙う獣のように鋭い目つきでフィガロを睨んでいる。敵意と性欲が混じった魔王の目つきにフィガロは大いに興奮していた。最初は自身の師匠からオズの性教育を任されたときは、さすがにこっそりと殺してやりたくなったが、今は違う。これはこれで楽しくなってきた。
     やっと人間のように慈しみと礼節を覚えた男がそれらすべてをぶん投げて、自分の内側に眠っていた激しい欲情に身を任せようとしている。激しく強大なオズの情欲に触れたフィガロはそれに飲まれるように、当初の考えを捨てて、抱かれることを望んだ。
    「ぁ、ふぃがろ、フィガロ。これ、これは、」
     口足らずな可愛いかわいい弟弟子にフィガロは優しく抱き締めて柔らかな耳たぶの傍で囁いた。
    「いいよ、ひさしぶりに俺が全部教えてあげよう。ナニをどうしたら、コレが収まるのかも。ぜんぶ」
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