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    al4uhf

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    al4uhf

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    相手が誰か気付かずやっちゃった五直。
    直は泥酔、五は過労で二人とも判断能力がお逝きになっていた。
    自分を追い込む(?)ために導入部を公開。

    ワンナイト五直進捗

     禪院家の縁側ですれ違う二人。かたや五条家当主。かたや禪院家次期当主。年や立場は近いが、二人が犬猿の仲だというのは周知の事実だった。

     すれ違いざま、いつも通り何気ない話に嫌味を練り混ぜて、いつも通り罵り合いに移行。この後はいつも通り拳で語り合うのかと思われた。しかし、両者ともふと何かに気付いたようで、突如目をはって押し黙った。

     俺はある種の期待に胸を躍らせながら、その様子を物陰から見ていた。直哉にはもちろん、五条の坊にも気付かれない距離で。透明人間の本領発揮というわけだ。

     先に沈黙を破ったのは、五条の方だった。

    「直哉、髪染めるの止めたの?」

     先程の苛立った様相から一転、静かに低い声で問うた。

    「あー……ちょっと髪傷んできたから、黒に戻した」

     対する直哉も、今は喧嘩などしている場合ではないことを察したらしい。

    「黒髪だと別人みたいだね」

    「そう?」

    「お前の目ってそんな明るいる色だったっけ? カラコン?」

    「もともとこの色やけど。何寝ぼけとんねん」

     五条は眉間に皺を寄せ、視線をゆっくりと直哉の耳元に向けた。

    「ピアス……! 今日は一つしか付けてないの? あの、痛そうなやつ」

    「ヘリックスな……前、泊まったホテルに置き忘れて」

     五条の顔からさっと血の気が引いて、小さく呻き声を漏らした。まるで何かに耐えるように、あるいは縋るように、唇がわなわなと震える。

     直哉も先程から感じている違和感の正体に辿り着こうとしていた。

    「悟君いつもの目隠しは?」

    「なくしたんだよね、……先日、ホテルで」

     ここで、直哉もある可能性が頭をよぎったのだろう、さっと顔を青くした。そしてせっつくように

    「……サングラス! サングラス取って……」

    「見ない方が……いいんじゃない?」

    「いいから!」

     五条は観念したようにサングラスを取る。と、六眼が陽光に照らされ、唯一無二の青が直哉のもとに晒された。

    「……まさか……」

     愕然とした表情で、二、三歩ほど後ろに下がる直哉と、落ち着きを取り戻した五条。

    「僕の素顔見たことなかったっけ?」

    「ないわ! お、お前、俺の前ではずっとドス黒いサングラスかけとったがな! 高専では目隠しつけとるし!」

    「僕の顔どう? グッドルッキングガイって評判なんだけど」

    「知らんわ……」

    「目の色も綺麗ってよく言われる。宝石みたいって言われたなぁ……先日は」

    「あっ、……」

     いつもなら騒ぎを聞きつけた両家の親父共が出張って場をおさめるところ、自ずからクールダウンしたその異様さといったら。禪院家女中が口々に「直哉様もようやく大人に」「明日は雪かしら」と呟くのが聞こえた。

     しばしの間、二人はなすすべもなくお互いの顔を呆然と見合っていた。

    「くっくっくっ」

     堪えきれず、笑いが漏れる。俺だけがはっきりと事態を飲み込めていた。何故なら──。

    「甚爾ならわかってくれると思うんだけど──」

    「甚爾君聞いてや」

     二人はことの詳細を俺にだけに伝えていたからだ。
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