Recent Search
    You can send more Emoji when you create an account.
    Sign Up, Sign In

    05Ocean

    @05Ocean

    ☆quiet follow Send AirSkeb request Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 4

    05Ocean

    ☆quiet follow

    『恵は五条の刈上げ大好きだし、それをメンテナンスしてるのは恵だから、あの刈上げはつまるところ五伏』と思ってる。まず間違いない。

    ≪きっかけは目隠しつけるのに後ろの髪が邪魔だったとかで良い。他人に髪切られるのが嫌だから「恵切ってよ」で始まる。最初は長さもバラバラで不格好だったけど、回数を重ねる毎にうまくなる。高専の誰かの髪も切ろうとして五条が嫉妬すると楽しい≫

    恵が五条の髪を切る話「上手くなったよね」
    「動かないでください」
     しゃき、しゃきと五条の髪に鋏を入れていく。そわそわと落ち着きがないのは昔から変わらない。精神年齢がずっと子供のままだ。うっかり恵が手を滑らせて五条の肌を指そうものならきっと無下限で止められるだろうからその心配はないんだろうと思ってる。ただこちらの心臓に悪いので髪を切っている時は大人しくしててほしい。
     「でさ~ 」と身体を動かさなくなった代わりにずっと話し続ける。大人しくすると死ぬ呪いにでもかかっているんだろうか。仕事や上層部への愚痴から始まり、最近気になっているスイーツの話、出張先の話。「あそこ良かったから今度一緒に行こうよ」と何度か言われたことがあるがその言葉は一度も現実になったことはない。だから恵も話半分に適当に相槌を打つだけだ。それよりもこちらは作業に集中させてほしい。
     小学生の頃から五条の髪を整えるのは恵の仕事だった。
     「随分伸びましたね」「何が」「髪です。邪魔にならないんですか? 」「ん~ 、邪魔だね。ねぇ恵が切ってよ」と言う会話が切っ掛けだった。勿論拒否した。髪の切り方なんか知らない。失敗するのは目に見えていた。プロにしてもらえと言う恵の言葉を受け入れずに「知らない人間に背後から刃物を向けられるのなんてごめんだよ」と主張してくる五条に折れたのは恵だった。はじめはどう切ればいいのかわからずにぱっつんにしてしまったことをことあるごとに五条はからかいのネタとして振ってくる。その度に「どうなっても良いからやれと言ったのはアンタですよ」とノータイムで切り返す。
     はじめはいやいやだったこの行為も回数を重ねていくうちに普通になって自然な行為になって、いつの間にか好きになっていた。五条の髪はさらさらとしていて、柔らかくて、ふわふわしていて、恵の好きな触り心地だった。玉犬達とはまた違った恵の癒しになっている。日常的に術式を展開している五条の髪に触れることが出来る特別感が、もしかしたらその気持ちを加速させているのかもしれないと頭の中をちらつくことがあるけれど、器用にそれだけを摘み取って見えないように蓋をする。
     伸びた箇所に鋏を入れ終わると仕上げにバリカンで後頭部を刈っていく。じょりじょりと実はこの感触も気に言っている。普段は触れないので、この役目の特権とばかりにこの時間に堪能していることをたぶん五条も気付いているだろう。
     切り残しがないかを確認するためにぐるりと一周する。変なところはなさそうだ。
    「終わりましたよ。シャワー浴びてきてください」
     五条に掛けていたビニールを取ってテキパキと後片付けを進めていく恵の後ろ姿に「ありがと~ 」と間延びした声を掛けて五条はバスルームへと向かった。
     五条は気まぐれだ。でもなんだかんだと10年近くもこの役割を恵に与えてくれている。いつ「もういいや」と言われるかわからない。一瞬みぞおちのあたりに刺すような痛みが走る。僅かな時間ですぐに痛みはなくなった。
     次も切らしてくれるだろうかと思いながらフローリングに散らばった髪を集めてゴミ箱に捨てた。
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    05Ocean

    MAIKING教職免許を取るために大学に通う恵と、恵と一緒にいたくて同じ大学に通う最強の話。
    「恵は押しに弱いから、そんな盛りのついた群の中にいたら簡単に食べられちゃう!」
    「俺が押しに弱いんじゃなくて、あんたの押しが異常なんだよ。ぶん殴りますよ」って話
    キャンパスライフ!「やだやだやだ! 大学なんか盛りのついた野郎どもの巣窟じゃん! 通信でよくない⁉ 」
    「アンタの勝手な偏見押し付けないでください」
     「高専を卒業したら大学に通って教免を取ろうと思う」と随分前から聞かされていた悠仁と野薔薇は目の前で騒いでいる自分たちの担任の姿を見ながらやっぱりなと呆れた表情を浮かべた。言われている本人の恵は縋りついてくる大男を大して気にすることもなく、進学のための手続きを矢蛾と勧めている。こちらも今更大きな子供の癇癪が気になることもないようだ。
     座学の成績も優秀な恵は推薦入試で合格し、進学も決まっている。
    「おかしくない⁉ なんで保護者の僕が知らないのさ! 」
     大学に通うとなると、今までと同じように一緒にいることが出来ないじゃん! と騒ぎ立てるが、そもそも多くの出張をこなしている五条とはそこまで多くの時間を共有していた覚えもない。一か月の三分の一程、高専の教師として授業ができれば良い方だった。
    3248

    05Ocean

    DOODLE『恵は五条の刈上げ大好きだし、それをメンテナンスしてるのは恵だから、あの刈上げはつまるところ五伏』と思ってる。まず間違いない。

    ≪きっかけは目隠しつけるのに後ろの髪が邪魔だったとかで良い。他人に髪切られるのが嫌だから「恵切ってよ」で始まる。最初は長さもバラバラで不格好だったけど、回数を重ねる毎にうまくなる。高専の誰かの髪も切ろうとして五条が嫉妬すると楽しい≫
    恵が五条の髪を切る話「上手くなったよね」
    「動かないでください」
     しゃき、しゃきと五条の髪に鋏を入れていく。そわそわと落ち着きがないのは昔から変わらない。精神年齢がずっと子供のままだ。うっかり恵が手を滑らせて五条の肌を指そうものならきっと無下限で止められるだろうからその心配はないんだろうと思ってる。ただこちらの心臓に悪いので髪を切っている時は大人しくしててほしい。
     「でさ~ 」と身体を動かさなくなった代わりにずっと話し続ける。大人しくすると死ぬ呪いにでもかかっているんだろうか。仕事や上層部への愚痴から始まり、最近気になっているスイーツの話、出張先の話。「あそこ良かったから今度一緒に行こうよ」と何度か言われたことがあるがその言葉は一度も現実になったことはない。だから恵も話半分に適当に相槌を打つだけだ。それよりもこちらは作業に集中させてほしい。
    1288

    recommended works