帰る場所リビングの扉を開けた瞬間、空気が変わっていることに気づいた。
ただの静けさではない。冷たい、重たい、よどんだ空気だった。
「……嘘だろ……」
司の声がかすれる。彼の足が一歩、また一歩と奥へ進むたび、胸の奥で不吉な予感が膨れ上がっていく。
そして、リビングの中央に倒れていたのは、小さなぬいぐるみと類が作ったロボットたち。
ガードモシ1号と、その仲間たちだった。腕がちぎれかけ、目が外れ、なかには中綿がはみ出している子もいる。
「モシ……! おまえ……守ろうとしたのか……?」
床には土足のまま踏み荒らされた泥の跡が、無数に残っていた。
その中に、くっきりと残るひときわ大きな足跡が、モシの小さな体を踏みつけていた。
リビングだけではない。
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