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    apollo07222

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    apollo07222

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    ぷらいべったーにあげてたやつです。
    🐺🦇の製造ラインです。

    #MZMart_B

    幻覚「…ん?」
     違和感を感じたのは出先で友達と昼飯を食ってるときだった。
     今日の昼飯は塩ラーメンで何度か通ってる店だった。昼にも何度か行ったことがあるし、いつものメニューだ、真新しいメニューを頼んだわけでもない。
    「どうしたのコーサカくん?」
     一口食って箸が止まってた俺に不思議に思った友達が声を掛ける。
    「もしかして前と出汁違う?」
    「いや?なんでもない」
     何度か食ってる煮干し出汁が効いてる塩ラーメンだった、割り箸は綺麗に割れた。いつもの履き慣れたスニーカーだったし、まもなく春になろうというこの季節に珍しく天気も良かった。そもそもなんの違和感なのかわからない。
    「この店いつ食っても美味いわ」
     わからない違和感にかまけて麺を伸ばす方が本意ではないので俺はそのまま箸で掬ったままの二口目を啜った。煮干しの出汁がしっかり出ていて細麺の喉越しも最高だ。
     美味い。

     次に感じた違和感も飯に関することだった。なんと最初の話だけでは終わらなかったのだ。
     数日篭りきりだった自宅での修羅場。ジョーさんと丁度ひと段落着くタイミングが被ったので飯を食うかとなったタイミングだった。
     急に生えた締切作業の間際、ルームシェアしてる野郎二人組の冷蔵庫にはボトルのコーヒーと苺と死にかけの葉野菜と冷凍苺といろんな意味で限界時の冷凍デリが入っていた。
    「ジョーさん何食う〜?」
     己の口からびっくりするほどヘロヘロな声が出た、蚊でも鳴いてるんだろうか。
     キッチンとジョーさんのいる部屋は離れているがあの人は狼男なので耳はいいはずなので聞こえてんだろ。俺はこの死にかけの葉野菜を添えてこの冷凍デリのデミグラスハンバーグを食う。
    「コーサカのと同じやつ〜」
     ヘロヘロだがはっきりと返事が返ってきた。こういう時に何でもいいとか抜かすやつじゃないところが本当にいいやつだと思う。
    「コーサカその草どこあったの」
    「草ってあなた。冷蔵スペースで凍えてた、死にかけだけど食う?」
    「いや、遠慮しとくよ」


    「…ん?」
     違和感は食い終わってジョーさんがコーヒーと俺にお茶を淹れてくれたタイミングだった。
     満腹感がない、気がする。気がするというのも以前より食事の量を正しい意味で八分目に直してからは十二分目まで食うこともなくなったし、胃袋の容量も八分目の感覚に馴染んでいる。何なら食い足りないとは思うが胃的には満足だと感じる。何を食いたいかの欲望も特に浮かんでこないがただ漠然と食い足りない、そんな感覚。
    「なに?コーヒーって気分だった?」
    「いや違う、ぼーっとしてた。」
     生返事じみた返答をしつつ淹れてもらったマグを受けとる。嗅いだことがない香りのお茶だった。
    「これいつ買ったの?」
    「ああ、貰い物。━━さんから。トロピカルな香りのやつ、柑橘系とマリーゴールドとかローズヒップとか入ってるみたいよ。」
    「女子力高ぁ〜」
     脳みそが三分の一も動いてなさそうなコメントが口から出てお茶を一口啜る。
     柑橘系の奥に確かに花の香りがして立ち上る湯気を深く吸い込んだ。

     温かい飲み物を飲んで胃があったまったからだろうか。さっきまで感じていた食い足りなさはすっかり治ったのであった。


     そんな感じの違和感が毎度毎度食事のたびに起こるようになって思ったのだが、きっかけは謎のままだがどうやら今までの食生活だけでは物足りない体になってしまったらしい。
     そもそもワタクシ、ユルミラー=ヴァン=コーサカはれっきとした吸血鬼なのでありまして。今まで普通の人と同じ食生活どころかニンニクも日光も克服している状況ではあるものの根っこは吸血鬼。避けてたわけではないけど所謂吸血衝動的なやつかもしれないとは一旦思い至ったわけである。
     だがしかし、吸血をしたくとも現代社会の日本において吸血なんてしてしまったら傷害事件必至の最悪過失致死事件なので気軽にはできない。伝承の例に漏れず若い女性の方が美味しいのは事実だが昨今、若い女性に血を吸わせてくださいなんて声かけてみろ、手を出す前に一瞬で犯罪者である。
    「ほんっとう世の中便利〜」
     手元には通販の箱がある。クール便でついさっき届いた。
     世の中は本当に便利なので俺の住む街、東京には人外専門のクリニックもある。まあそうだよな、吸血鬼も狼男もドラゴンも大魔王も住んでる東京に人外専門のクリニックの一つや二つないと困るわけで。
     クール便の話に戻るがそのクリニックのカウンセリングを受けたことで注文ができたものが入っている。端的に言えば人間の輸血パックだ。一パック二百ミリリットル。
     少し前までは売血が合法だったので手に入りやすかったけれど、今は医療機関を通さないとまともに用意できないご時世。しかも食事としてと思うと冗談抜きで高価なので注文の時に、今後血を飲まないと食事で満足感を得られなかったら本当にどうしよう、そしてヘルシング機関はやっぱ金持ちだなと改めて思いつつ背中をいやな汗でびちゃびちゃにしながらポチったわけである。一個しか買わなかったのは正直チキったからだ。ソコソコ良いところのレストランでちょっとだけリッチなディナーが頼める価格は一食分にしては流石に高すぎる。
     フーっと肺中の息を全部出す勢いで深呼吸した。
     ジョーさんは今日は対面での打ち合わせで居ない。それに合わせて輸血パックのお届け指定をしたのだ。ジョーさんと暮らすようになってから吸血したことはないけど、彼は狼男だし前に紙で指を切ったときは匂いを嗅ぎつけて心配して隣の部屋から様子を見にきてくれたこともあった。大袈裟だなあなんてあの時笑ったけど隣の部屋から相方の血の匂いしてきたらそりゃあ驚いてこっちの様子も観にくるだろうな。
     輸血パックをまじまじ見ることもほとんどないのでとりあえずしっぽのように伸びてる先から吸うことにしてみた。
     しばらく人の血すらまともに見ていなかったにも関わらず、吸血鬼の性か暗い赤い色をした輸血パックを見ていると自然と食欲が湧いてきている気がした。
     輸血パックのしっぽのようなとこをハサミで切って口に咥えた。そのままコンビニの紙パックジュースと同じ感覚で吸いこむと口の中に溜まったのは当たり前だがキンキンに冷えた人の血の味だったわけで。水よりモタっとしていて喉に絡んで爽やかじゃあないな、錆の匂いが鼻に抜けてきたので間違いなく人の血だが昔々の更に昔に飲んだ時より満足感が薄い気がしたのはキンキンに冷えてるからなんだろうか?というか一口でまあまあわかったな、二百ミリリットル…多いな。いや飲むが。
     といった感じで久々に口にした血液(キンキンに冷えている)は全く美味しくないという味覚に全振りされた結果が俺の手元に残ったのだ。当たり前だ、血液よりもこの前食った塩ラーメンと冷凍デリの方が絶対的に美味い。ジョーさんが俺の作った飯を美味い美味いと食うもんだから嬉しくて自炊も楽しいし、人間の食生活のほうが絶対に良い。
     依然として違和感の正体はわからないままなのだが、今後の主食が輸血パックとかいう最悪の事態は避けられそうという事実がせめてもの救いか。

    「…ジョーさん帰ってくる前に換気してゴミ処分しないと」
     
     慢性的な満腹感を満たせないこと以外実害は特になかったのでそのまま数日たったころ、んなアホなと言いたいようなことでこの違和感の正体を知った。
     スタジオから最寄り駅の通り道にフラワーショップが新しくオープンした。切花メインのショップを通りかかった時、あ〜いい匂いと思った途端に、ここ一ヶ月くらい続いた違和感が薄らいだのだった。んなアホな、ポーの一族の世界観じゃん。と思いつつもほんのり暖かく感じた胃の辺りをさする。さっきまでいくら食っても空っぽのようだった空腹感が満たされたのは事実だったのでとりあえず売ってる切花をいくつか買って帰ることにした。
     季節的には少し早いミモザ、ガーベラ、ナデシコ、そのほか諸々おすすめをまとめた小ぶりの花束を手にすると生花の匂いが鼻腔をくすぐって、すぐに満たされる満腹感に確信したわけである。
     まるで漫画みたいだ。
     俺たちみたいな伝承をルーツにもつ生き物は『そうあれかし』と願われた事が反映されている。
     今まで満足できていた食事で満足できなくなってきてしまったのだ。俺はどっかのタイミングで誰かに恋をしてしまったらしい。


     コーサカが花を買ってきた。
     実際には買ってきた花を見ていないけど、俺は狼男なので鼻はよく効く方だし、それが例え彼の部屋の中にあって扉が閉められていたとしても少し早い春を告げる花の匂いは玄関にいても部屋にいても、詰まるところどこに居ようと俺の鼻先をイタズラにムズムズさせた。
    「コーサカなんかいい匂いする。」
    「帰り道の駅前んとこにさあ、花屋が出来てていい匂いだから買ってきた。あ、花粉症大丈夫?」
     コーサカは少しだけこっちを伺う視線をくれた。俺の花粉症を気遣ってくれてたらしい。
    「花粉症は大丈夫なんだけどいい匂いだなって思ってさ。いいね、リビングにも飾ろうよ。」
     男二人のルームシェアとは言え花は綺麗だし、いい香りがするし、時々締切や締切や理不尽なことで摩耗する気持ちも軽くなる、気がする。
    「そだね、今度リビング置く用の買ってこようぜ。ジョーさんいい感じの花瓶買ってきてよ。」
     

     俺アンジョーダイスケは友人で仕事仲間でルームシェア相手であるコーサカのことが好きである。ライクでは無くラブの方である。
     しっかりこのことに気づいたのは最近だけど、今思えばだいぶ前から彼に恋している。一緒に住んでるなかで居心地が良い相手だし、気遣ってくれる存在でもあるし、俺が間違ってることがあればしっかり正してくれるし、俺が理不尽な状況に晒された時には真っ先に怒ってくれるのだ。
     友人で仕事仲間でルームシェア相手という最高のポジションに腰を据えている自覚はある。なのでこの気持ちは絶対に表にださないことにしていた。
     コーサカは元来恋多き男に分類されると思う。彼は女性からアプローチされることが多いし、少なくとも俺よりはお付き合いをした女性の数は多いと思う、わりかしインスタントな関係を楽しむことも多かったと思う。
     恋が多い男というのはつまりお別れも多いというわけなので、仮に俺らの信頼関係はカンストしてるとして、間違って、うっかり、口が滑って俺からコーサカに告白をしてしまったとして彼の口から是でも否でもどちらかの答えが返ってきたとして、今以上の関係になった先にいつか来るかもわからない失恋に怯えるのも、彼が俺の想いを受け取ってもらえないのも絶対に嫌だ。
     このコーサカのことが好きという気持ちは友人からスタートして彼の好ましいところと彼らしいなと思ったところが降り積もってできたものなので今までの積み重ねを無しにするようなことだけはしたくないのだ。だったら今の関係性をできるだけ長く継続していたほうが良いではないか。俺は狼男のくせして臆病なのである。

     だがしかし、そんな悠長なことを抜かしている場合では無くなってしまったのだ。
     違和感は少し前からあったかもしれない。コーサカが食事の時に少しだけ表情をこわばらせる事があった。彼はこと食べることに関してもとても真面目だし、同時にとても楽しむ主義なので彼のその表情にびっくりして声をかけてしまった。その時は「ボーッとしてた」と躱されてしまったけど、多分その辺りから彼は今の調子だったと思う。
     元来の彼の性として人の血を好む生態だってことは知っているけど、コーサカが自主的に吸血をしているところを見たことは全くない。そもそも現代においての吸血行為の難易度の高さはかなりの物だと思うし、普通に日本人としての食事のほうが圧倒的に美味しいのだ。
     何日間か迷っていたんだろうけど、俺が外出してる間に何かしらで吸血を試したらしい、ところまでは帰宅してなんとなく察した。俺も根っこはどこまで行っても狼男なので刺激しないように工夫してくれていたんだと思う。多分家中の窓を開けて換気したんだろう、家の中の匂いがほとんどしなかった。でもおかえりと声をかけてくれたコーサカのテンションがすごく下がってたのでよっぽど美味しくなかった上に解決には至ってなかったようだ。
     そして先日、コーサカは花を買ってきた。ここ最近見ることのなかった満足そうな顔をして。

     俺たちフリークスは確かに存在しているんだけれど、基本は伝承や御伽噺がベースの存在なので『そうあれかし』なのである。「そうであってくれ」と願われた姿が俺たちを形作る。
     吸血鬼が登場する有名な作品はたくさんあるけどその中に花の生気を食んで生きる吸血鬼が出てくるものがある。
     全ての吸血鬼がそうなっているわけはないと思うけれど、おそらくコーサカはそうなってしまったんだろう。根拠は特にないんだけど、完全に直感ではあるのだがここ数年一番近くで彼のことを見てきたのでそんな感じがする。

     なんと無く俺がこの状況に焦っていることがお分かりいただけたと思う。
     コーサカはモテる。それはもうモテる。前述した通りお声がかかることが多いし彼は女の子大好きだ。これがまた相手からお誘いを受けての交際ならまだ耐えれる、と思う。彼のことが好きだと自覚した今だと結構かなり、だいぶ、しんどいけれど。
     だけど彼から誰かに思いを寄せているとしたら?今に、この家に帰ってくる時に知らない誰かの匂いを纏わせてこの家に帰ってくることがあったとしたら?
    「絶対無理…」
     一生ぐるぐると脳みそで考えてたとしても何も解決しないのに部屋のベッドにぶっ倒れながら、自分の口から否の答えだけは出てきた。

     伝えなければ、コーサカに。言葉にしなければならない。彼はとても聡いので俺の言葉が足りなくてもそれをいつもうまく汲み取ってくれる。でもこの気持ちを俺の口から伝えないのは失礼だと思う。
     素直に彼に俺の思いを伝えたい。彼が自分じゃあない誰かの事を想っているかもしれない可能性にこんなにも焦ってる。長年伝えてこなかったし、なんならこの関係を保つために墓まで持って行く覚悟だった想いを今すぐにでも伝えないといけない。
     

     
    「ねえコーサカ。聞いてもいい?」
     煮詰まった脳を動かすためにリビングで作業してたらアンジョーが声をかけてきた。俺が座ってるテーブルの向かいの席に彼も座る。
    「ん〜?何ジョーさん、かしこまって」
    「あのさ、最近よく花買ってくるじゃん?」
    「そーね、俺花好きだし」
     今作業してるテーブルにも、アンジョーが買ってきた一輪挿しの小ぶりな花瓶に赤いアネモネを生けてある。
    「それにしても最近急に買い始めたじゃん?」
    「…?何聞きてえの」
    「コーサカさ、好きな人できた?」
     思わず作業中のPCを閉じてアンジョーの顔を見た。難しそうな顔をしている。彼の眉間に皺が寄っていて青い両眼はわずかに左右に動いていた。自分から問いかけてきたのに、そんな迷子みたいな。なんで眼も合わせらんないの。
     アンジョーだって知ってるだろうな。だって彼も『そうあれかし』と願われて生まれた伝承がルーツの生き物だし。そして何より彼もオタクなので有名な創作で今の俺のような食性があることを知ってる方が自然だ。

    「それさ、俺じゃだめかな?」
    「…は?」
    「俺さ、コーサカのこと好き。」
    「い、いつから」
    「はっきり自覚したのは多分コーサカが花を買ってきた時だけど、多分御茶ノ水に住んでた頃から。」
    「めっちゃ最初からじゃん。」
    「そう」
    「えぇ〜、だって俺今まで何度か彼女とかいたの知ってたじゃん」
    「まあ、それは女の子じゃん。」
    「なんで今になって俺に伝えてくれたの?」
    「俺だって伝えるつもりなんてなかったよ。このまま、いつ入るかもわからん墓まで持ってくつもりだったよ。コーサカが女の子と付き合ってても俺たち友達だったし、ルームシェア続いてたし、仕事仲間のままだったし、今の関係が一番距離近いじゃん。でも花の生気を食べるって君、今誰かに恋してる。それは本当に無理。君からの気持ちが俺以外の誰かに向けられてるなんて耐えられない。でも君からはいつまで経っても誰かの匂いがしないし、それならまだチャンスがあるのかなって、それに賭けてこの気持ちを君に伝えたくって。君が好きだって。だから、俺の事を選んで欲しい。」

     耳どころか顔全体がカッと熱くなって心拍が爆アガりして耳元で鳴ってるみたいだ。さっきまでキョドって目線も合わせられなかったアンジョーが今はまっすぐに俺の方を見つめてきてる。
     逆に俺は顔も耳も真っ赤にしてつい今受け取ったばかりの言葉を頭で必死に処理し切ろうとしているところで。

    「〜〜〜ッ」
     今更後出しジャンケンみたいになって非常に遺憾だ。こんなド直球な告白貰って初めて自分の気持ちに気付くとかダサすぎる。俺、こいつのこと好きになったんだ。言われて気付いたなんて悔しすぎる。
    「コーサカ?」
    「マジで悔しい。ジョーさんに言われて気付いたわ。」
    「あのさ、コーサカ。俺臆病だからさ、コーサカの口から聞きたいよ。」

     あんまりにも必死に彼の青い眼が『好きって言って』と訴えかけてきたのでこっちもたまらない気持ちになってしまった。
    「俺も。俺もジョーさんのこと好きだよ。」



    「ねえ、コーサカ。庭に花植えようよ。」
    「え〜?切花でいいじゃん、管理むずくない?」
    「うーん、でも毎度買うのもコスパ悪いしさ。園芸初心者に優しいやつとか色々植えようよ。季節で花が咲くのとかよくない?そんで花が咲いたら少し摘んで花瓶に生けるの。水やりは俺するし。」
    「そこは薔薇を植えようとか言わねんだ。」
    「それは俺が花束で買ってくるよ。俺からあなたにあげたいし。」
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    apollo07222

    DONE明確に🐺🦇です。
    事後っぽいな。
    #MZMart_B
    #MZMart_R
    幸福論 たとえ遮光カーテンで締め切っていたとしても、雨雲が朝日を遮っていても、朝日を感じて目が覚めてしまうのは、もともと太陽光に怯える吸血鬼の本能なのかと勝手に思ってる。根拠はないけど。今日は太陽光の気配じゃなくて雨の音で起きたと思う。静かに雨が降る音が遮光カーテンで締め切られた窓の外から聞こえてきていた。
     天敵の日光を遮って完全な安眠を約束してくれる棺桶に比べると、アンジョーと眠るベッドは広くて、寝返りも打てて、スプリングがよく効いていて暖かくて、そして俺をガッチリ抱き締めてアンジョーが寝ているというめちゃめちゃ幸せでデカすぎるリワードがある。寝起きは見えもしない朝日を感じて起きるけど。
     目の前には俺の体を両腕で抱き寄せて未だに深く眠るアンジョーの首筋と鎖骨から肩までが無防備にも露わになっていた。というかほぼ裸だ。お互いにパンツだけ履いて寝たことは覚えてる。昨日夜から今日未明まで相応に求めあった過程で、前後不覚になって縋りついた筋張った首筋に甘ったるく齧り付いたり、爪で引っ掻いたりした痕が薄暗い室内でもしっかり見えてなんだか無性に恥ずかしい。
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     天敵の日光を遮って完全な安眠を約束してくれる棺桶に比べると、アンジョーと眠るベッドは広くて、寝返りも打てて、スプリングがよく効いていて暖かくて、そして俺をガッチリ抱き締めてアンジョーが寝ているというめちゃめちゃ幸せでデカすぎるリワードがある。寝起きは見えもしない朝日を感じて起きるけど。
     目の前には俺の体を両腕で抱き寄せて未だに深く眠るアンジョーの首筋と鎖骨から肩までが無防備にも露わになっていた。というかほぼ裸だ。お互いにパンツだけ履いて寝たことは覚えてる。昨日夜から今日未明まで相応に求めあった過程で、前後不覚になって縋りついた筋張った首筋に甘ったるく齧り付いたり、爪で引っ掻いたりした痕が薄暗い室内でもしっかり見えてなんだか無性に恥ずかしい。
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