クロドゥル 『睦言』「やあ、カラスくんたち」
木々の向こう、中庭から声が聞こえる。耳馴染みのある声。おそらく王様が城内の散歩の最中にカラスを見つけたのだろう。続いて数羽の鳴き声が響く。
王様は心からカラスを愛している。カラス王国を作るという夢のために、俺達の呪いを解く方法を研究しているほどだ。
自分のことも、愛してると言ってくれるが……二人のときしか言ってもらえないので、いつでも愛を与えられているカラスが羨ましくなる。
次に二人でゆっくり話せるのはいつになるだろうか……。
思わず立ち止まって物思いにふけっていると、王様がこちらに気付かずカラスを愛でている声が聞こえる。
「おいで……ふふっ、いい子だ」
その言葉を耳にした途端、頭の中にいくつかの映像が浮かんできた。
1239